半坪ビオトープの日記

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

榛名山の外輪山、掃部ケ岳(かもんがたけ、1449m)には榛名湖畔から1時間弱で登れる。山頂近くにはゴマノハグサ科ママコナ属のミヤマママコナ(Melampyrum laxum var. nikkoense) がいくつも咲いていた。 日本全国の山野に自生する半寄生の一年草で、…

榛名山への途中にある高根展望台からは赤城山が見える。ここで美しいカラスアゲハの雌を見かけた。蜜を吸っているのは、カモメヅル属のイケマ(Cynanchum caudatum) の花。 イケマとはアイヌ語で「太い根」あるいは「神の足」という意味で、アイヌ民族では重…

夏休みで榛名山・伊香保温泉に出かけ、初日は天気がよかったので、榛名山の最高峰、外輪山の掃部ケ岳(かもんがたけ、1449m)に登った。けれども、火口湖の榛名湖とその左の榛名富士(1391m)を眺められるところは一か所しかなく、ほとんど樹林の…

オレガノといえば、イタリア料理の香辛料で有名だが、学名はオリガヌム・ウルガレ(Origanum vulgare) という。園芸上はハナハッカまたはワイルドマジョラムという。 同じ属でもハーブではなくもっぱら鑑賞用になっているのを、花オレガノと呼ぶ。主にギリシ…

モナルダといえば、タイマツバナという和名をもつ真っ赤なディディマ(Monarda didyma) がもっともよく見かけられる花だが、この薄桃色の花は、同属のフィスツロサ(M. fistulosa) という。クマバチが夢中になって蜜を吸っている。 ディディマと同じく北アメ…

三角形の葉に紫色の風変りな花を咲かせているのは、ゴマノハグサ科アサリナ属のバークレイアナ(Asarina barclaiana) という。キンギョソウに代表されるアンティリヌム属に似るが、アサリナという属名はそのアンティリヌムに対するスペイン語の asarum に由…

真夏の暑さをものともせずに咲くキク科の花としては、ルドベキア・ヒルタ(Rudbeckia hirta) が最も元気がよい。属名は、スウェーデンの植物学者ルドベックを記念してつけられた。 この属の植物はすべて北アメリカ原産で、明治中期に日本に渡来して各地で野…

先日(7/6)、クフェア・タイニーマイスという園芸品種を紹介したが、今度はクフェア属の代表といわれる、クフェア・イグネア(Cuphea ignea) を近所で見かけた。クフェア属は和名でタバコソウ属というが、このイグネアの和名こそタバコソウである。別名、…

この花もフシグロセンノウやガンピと同じリクニス属で、スイセンノウ(酔仙翁、Lychnis coronaria) という。 花径は2.5cmほどで、まだ咲いているのを見つけたが、5月から6月にかけてが花の盛りである。 南ヨーロッパ原産の耐寒性多年草で、陽光と乾燥…

この橙紅色の花は、フシグロセンノウやガンピと同じリクニス(センノウ)属のハーゲアナ(Lychnis × haageana) という園芸品種であるが、一般にリクニスという名で出回っている。 絶滅危惧種のエゾセンノウ(L. fulgens) とガンピあるいはマツモトセンノウ(…

初秋の山地の林下でたまに出会う、ナデシコ科のフシグロセンノウ(Lychnis miqueliana) を団地の庭で見かけた。 リクニスという属名は、ギリシア語 lychnos(炎)に由来し、花色にちなむ。和名のセンノウ属の仙翁とは、京都嵯峨の仙翁寺にこの花が咲いていた…

ユリの花に似ているが細長い葉をもつ、ヘメロカリス(Hemerocallis) 属では、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)などのほかに多くの園芸品種が出回っている。 歴史のあるユリとは違って、第二次大戦後になり特にアメリカで人気を博してブームになったが、あまりに…

ユリは造形芸術では、室町頃から始まり、江戸初期には縫箔や小袖などのデザインに用いられ、寛永期には天球院の襖絵に描かれ、狩野探幽などの写生帖に描かれるようになる。 刀の鍔や漆の盆、着物の意匠、あるいは酒井抱一の有名な「夏秋草図屏風」にも「てっ…

ユリの花は万葉集以外でも西行の「山家集」や勅撰集にも詠まれている。 ひばりたつあらのにおふるひめゆりのなににつくともなき心かな(西行) みま草にかりのこされて姫ゆりの こころならずや人にしられん (藤原知家) しらるるか野べのさゆりの花ざかり …

万葉集にはユリの長歌一首、短歌九首が載っている。いくつか以下に挙げてみる。 道の辺の草深百合の花咲(はなえみ)に 咲みしがからに妻といふべしや (巻七-1257) 夏の野の繁みに咲ける姫百合の 知らえぬ恋は苦しきものそ (巻七-1500、大伴坂上郎女) 吾…

イギリスでも、ユリの花は古くから祝言の花の一つであった。イギリスでは、ユリの花を踏めば家族の女の純潔が汚されるというし、ユリの夢は吉夢だという。 香りが強いうえに、弔花にも用いるので、今でもユリを屋内へ持ち込むのを嫌う人が多い。また、この花…

ローマ神話でも、ユリは女神ユノの聖花として讃えられ、希望の象徴、また王位継承者のしるしでもあった。 神祖ユピテルはその子ヘラクレスに不死の生命を与えるために、眠っているユノの胸にこの子をこっそり抱かせた。子が吸っている間にこぼれた乳が、天に…

ギリシア神話では、ゼウスの妃ヘラの乳が飛んで地上に滴ったところからユリが生じたという。 聖書「マタイ伝」6章に「ソロモンの栄耀も野の白ユリにしかざりき」とうたわれる「野の白ユリ」は、どの花を指すのか定説がない。 花が大きく白覆輪で中心部がワ…

園芸上バーベナと呼ばれるのは、クマツヅラ科バーベナ属のヒブリダ(Verbena × hybrida) という交雑種全体を指している。ブラジルを中心にした4種ほどを掛け合わせていて、花色は緋赤色を基本に、桃、紫、青、藤色、帯黄、白など多彩である。 多くは花の中…

ふつう穂状に咲く花は下から順に咲くが、このリアトリス(Liatris spicata) の花は上から下へと咲いていくめずらしいもの。キク科リアトリス属の花は耐寒性の宿根草であり、すべて北アメリカに分布する。 穂状に咲く槍咲き種としてはスピカタの園芸品種が多…

クフェアといえばミソハギ科クフェア属のヒッソピフォリア(Cuphea hyssopifolia) 、いわゆるメキシコハナヤナギを指すが、平開する6弁の桃色花とは違って、この属には筒型の花もある。 筒型の代表はイグネア(C. ignea) 、別名ベニチョウジであるが、筒は…

ユリ科ギボウシ属の花は、東アジア特産の多年草で、特に日本に多く、代表的なのはオオバギボウシ(Hosta sieboldiana) である。ホスタという属名は、オーストリアの医師で植物学者ホストの名にちなむ。 ギボウシ(擬宝珠)という和名は、橋の欄干などにネギ…

今年もまた、ポルツラカ(ポーチュラカ、Portulaca oleacea 'Wild Fire')があちこちで咲き始めた。赤、桃、濃桃、黄、白のほか、このように赤と白の絞りもあり、八重咲きもある。 原種は、スベリヒユ(滑莧)といい、世界中の熱帯から温帯にかけて幅広く分…

ヤマユリは日本だけでなく世界的にも王者と呼べるほど風格があるユリで、オリエンタル・ハイブリッドというアジア系の交配種の親の一つとしても有名である。 白色種と桃色種が主流だったが、10年ほど前から黄色種も出回るようになった。この花が話題になっ…

穂状に小さな花をユニークな形で咲かせている花は、プリムラ(サクラソウ)属のヴィアリー(Primula vialii) という。種名は、発見者である植物採集家で宣教師であったドゥラヴェーの友人(Vial) の名にちなむ。 中国南西部原産の多年草だが、花後枯れること…

フランスでは古くから王や貴族の紋章や騎士の楯や軍旗にユリが描かれていた。その記録は12世紀頃までさかのぼれるし、キリスト教の三位一体にならって3つのユリをデザインして用いるようになったのは14世紀のシャルル5世のときからといわれる。 ジャン…