半坪ビオトープの日記

室堂の雪景色

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地獄谷と奥大日岳

翌朝、久しぶりの青空と雪景色に思わず歓声をあげる。地獄谷と奥大日岳の勇姿がくっきりと眺められる。

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地獄谷

地獄谷をよく見ると長い遊歩道が認められるが、火山活動の活発化による危険な火山性ガスが多量に噴出しているため、平成24年から立ち入り禁止になっている。

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朝の立山

ミクリガ池近くから眺める立山は、東に屏風のように聳えるため、山肌は朝8時になってもまだ薄暗い。

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ミクリガ池

ミクリガ池もまだ薄暗いが、昇った太陽が雲に隠れているためのようだ。立山の東の峠は一ノ越(2,705m)、右手の山は浄土山2,831m)である。

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みくりが池山荘

昨夜泊まったみくりが池山荘に朝陽が差してきた。日本最高所の温泉は内風呂のみだが、地獄谷から引湯した白濁の湯が名残惜しい。

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ミクリガ池と立山

ミクリガ池に沿って登っていくと、防護柵の上に小さな雪だるまがまだ融けずに愛嬌を振りまいていた。

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室堂ターミナル=ホテル立山

まもなく室堂ターミナル=ホテル立山が見えてきた。右奥に見える山は国見岳(2,620m)だろう。

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雪野原に遭難者慰霊碑

ターミナルのロッカーに荷物を預け、室堂平の散策に出かける。辺り一面雪野原で奥大日岳の右手に遭難者慰霊碑が見える。高さ約3mの石造の宝篋印塔で、11月下旬後半からみくりが池温泉などの山小屋が閉まると、この周辺がキャンプサイトとなる。

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別山の山塊

右に目を移すと別山の大きな山塊が見える。右手の山頂が別山2,874m)の南峰で、左手の頂が2,792mの峰だろう。その奥に劔御前(2,776m)があり、アルピニストの憧れの山、剱岳2,999m)はさらにその奥に隠れている。

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真砂岳(2,861m)と立山三山

別山の右には真砂岳2,861m)があり、さらに右手に富士ノ折立(2,999m)、大汝山(3,015m)、雄山(3,003m)の立山三山がある。手前には立山室堂山荘が建っている。

 

立山、室堂平へ

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黒部ケーブルカー

トンネルの中の黒部湖駅(標高1,455m)から黒部平駅1,828m)まで、黒部ケーブルカーで上ること5分。日本で唯一の全線地下式ケーブルカーである。

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立山ロープウェイ

黒部平駅の外には高山植物観察園があるが、霧がかかっているのですぐに大観峰へのロープウェイに乗り込む。この立山ロープウェイは間に支柱がなく、運行距離として日本一の1.7kmをワイヤーだけで結んでいて、約7分の空中トリップが楽しめるという。また、紅葉の時期には緑、紅葉の赤黄色、積雪の白と三段紅葉が見られることで知られる。

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初冠雪

見る間に紅葉の美しい山麓が枯れ木の山となり、霧の中から積雪が現れて、10月中旬ならではの醍醐味が味わえた。ちょうどこの日未明に初雪が積もったのだ。

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室堂平の今年初冠雪

大観峰(2,316m)は霧の中で、そこから室堂(2,450m)までは、立山トンネルトロリーバスに乗る。立山の主峰、雄山(3,003m)の直下を通り抜ける、日本唯一のトロリーバス路線である。それゆえ室堂は、日本最高所の鉄道駅ということになる。

室堂ターミナルの外に出ると、この日の朝記録された室堂平の今年初冠雪がまだ融けずに残っていた。残念ながら辺りは靄が立ち込め、立山連峰を見渡すことはできなかった。

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みくりが池温泉

室堂ターミナルから今日の宿泊地、みくりが池温泉までは約15分で、道は整備されているが積雪は5cmほどあった。

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ミクリガ池

標高2,405mにあるミクリガ池は、室堂平で最大・最深の池であり、立山火山の火口湖である。立山信仰の中では、ミクリガ池は立山地獄の中の「八寒地獄」とされた。反面、「ミクリ」とは「御厨」と書き、「神の厨房」という意味を持つ。この池の水が立山権現に捧げられ、この水を使って立山権現に捧げる料理が作られた。修験道に基づく山岳信仰では聖地、神水とされた山や池が、浄土信仰に付随する浄土と対極の地獄と関連づけられる中で、全く反対の位置付けをされたと考えられている。

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みくりが池温泉の夕陽

みくりが池温泉2,410m)は、旅館と山小屋の要素を兼ね備えていて、個室と相部屋がともにある。内湯のみで露天風呂はないが、日本最高所の温泉宿とされる。日本最高所の源泉地帯とされる地獄谷(2,300m)からの引湯で、源泉掛け流しの天然温泉。白濁で硫黄の香り豊かな単純酸性泉の湯が疲れを優しく癒してくれる。湯上がりに窓の外を眺めると、富山平野の西に沈む太陽が分厚い雲の下から顔を覗かせ、眩しい夕陽の情景が繰り広げられていた。

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立山の夕陽

右端の雄山(3,003m)、大汝山(3,015m)、富士ノ折立(2,999m)の三山を総称して立山と呼ぶが、その左の真砂岳2,861m)、別山2,874m)まで、いつの間にか空が晴れ渡り、白雪を抱いて赤い夕陽に輝いて居並ぶ姿はなんとも神々しい限りであった。

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地獄谷から湧き上がる噴煙

宿のすぐ北東にある地獄谷から湧き上がる白い噴煙の向こうには、奥大日岳(2,611m)の大きな山容が望まれる。

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みくりが池温泉からの夕陽

地獄谷の先に見える富山平野の彼方にはかすかに能登半島が見え、左手の太陽が沈む所は能登半島の付け根辺りの丘陵と思われる。

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太陽が沈み込む一瞬

太陽が沈み込む一瞬、辺りの空が一段と輝きを増すように感じた。分厚い雲が夕焼け空のバリエーションに一役買っているようだが、滅多にお目にかかれる光景ではないなと感じ入った。

 

立山黒部アルペンルート、黒部ダム

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黒部ダム行きの電気バス

10月中旬に黒部ダムから立山宇奈月から黒部峡谷を、数人連れ立って訪ねた。扇沢から立山駅までの立山黒部アルペンルート切符を買い、まずは扇沢黒部ダム行きの電気バスに乗る。

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黒部ダムと黒部湖

黒部ダム駅から220段の階段を上ると標高1,508mの展望台があり、黒部ダムと黒部湖が一望できる。観光放水は終わっていたが、運よく工事用の臨時放水を見ることができた。天気が良ければ西には立山連峰、南には赤牛岳が見えるのだが、小雨降る中では霞んで見えない。

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黒部ダムの堰堤

黒部ダムの堰堤の高さは186mで日本一、長さは492mある。観光放水の量は毎秒10t以上、ダムの総貯水量は約2億㎥以上である。

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コンクリートバケットと滑車

ダム展望台からは外階段を下る。途中、コンクリートバケットと滑車が展示されている。1956年(昭和31)から7年かけて建設された黒四ダムの堰堤を造るためのコンクリートを運んだ道具である。

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御前谷

展望台の向かいには立山から流れ下る急峻な御前谷が見えるが、さらに右手の黒部川の峡谷は鬱蒼と茂る原始林に遮られて水の流れが辿れない。

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レインボーテラス

新展望広場のレインボーテラスまで下れば、迫力満点の放水を間近に体感できるが、放水観覧ステージで左に折れて昼食のためにレストハウスに向かう。

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名物のダムカレー

混雑の中、ようやく注文できた名物のダムカレーは、アーチ型のご飯の堰堤の手前にカレールーの黒部湖、ヒレカツは遊覧船ガルベ、ポテトサラダは放水をイメージしたという。

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長い堰堤と黒部湖

黒部湖や対岸の紅葉を見ながら長い堰堤を進むとトンネルに入る。その中に黒部平に向かうケーブルカーの駅がある。駅の手前を左に折れると黒部湖遊覧船乗り場に向かう。

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崖に巨大な架台

この辺りがちょうど紅葉の真っ最中なのだろうが、赤く紅葉するモミジの仲間はあまり多くないようだ。崖の上部にはダム堰堤工事の際に設けられた巨大な架台が残されている。

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カンパ谷の吊り橋

遊覧船乗り場の先には湖畔遊歩道があり、カンパ谷の吊り橋を渡ると、ブナやダケカンバの原生林の中を進み、ロッジくろよん前で折り返せば約1時間散策できる。

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黒部湖遊覧船乗り場

遊覧船ガルべの乗り場は急な階段をかなり下る。満水時の湖面は標高1,448mで、遊覧船としては日本最高所。周遊は約30分。

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黒部湖の紅葉

ガルべとは、黒部の語源といわれるアイヌ語を元にした名前で、平成12年新造船の際に命名された。晴れていればエメラルドグリーンに輝く湖面から一望する黒部峡谷や、西に聳える立山連峰、東に構える針ノ木岳やスバリ岳、正面の南には赤牛岳を望めるのだが、どんより曇っていて湖畔の紅葉しか見えないのが残念である。

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雪の積もった山

遊覧船乗り場からケーブルカーの駅に戻る途中、対岸に雲の間から雪の積もった山々が見えた。針ノ木岳だろうか、赤沢岳だろうか、周りが見えないので断定できない。

 

タイ風グリーンカレー

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バイ・ホーラパーとマクアポ

8月末、南房総市の道の駅で珍しいカレーの材料を見つけたので、タイの鶏肉のグリーンカレー、ゲーン・キョウ・ワーン・ガイを試みた。バイ・ホーラパーはタイのスイートバジルで、タイバジルとも呼ばれ、葉が小さく香りが強く、タイのグリーンカレーには必須といわれるが、日本では中々手に入らない。マクアポは、白ナス、丸ナスとも呼ばれるタイナスで、最近はデパートでも売られている。野菜はそれにピーマンとパプリカを用意する。

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グリーンカレーのペースト、ココナツミルク、バイ・マックルー

グリーンカレーのペーストもいろいろ売られているが、50gを2袋用意する。ココナツミルク400ccの缶、バイ・マックルー(コブミカンの葉、ライムリーフ)6枚も用意し、マックルーの葉の芯はもぎり取る。

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鶏もも肉、ナス、ピーマン、パプリカ

鶏もも肉600gとナスは一口大に切り、ピーマンとパプリカは1cm幅に切る。

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ココナツミルクグリーンカレーペーストを混ぜ合わせる

鍋にココナツミルク400ccと水200ccを入れて弱火で温め、グリーンカレーペースト100gを絞り出して混ぜ合わせる。

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鶏もも肉を加えて炒める

鶏もも肉を加えて中火で15分ほど炒める。

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ナスとナンプラー、砂糖と塩を加える

鶏肉に火が入ったら、ナスとナンプラー大2、ココナツシュガー(orきび砂糖)大2、塩小1/2を加え数分煮込む。

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ピーマンとパプリカとバイ・マックルーを加える

ナスに火が入ったら、ピーマンとパプリカとバイ・マックルーを加え、なお数分煮込む。

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バイ・ホーラパーを加える

バイ・ホーラパー(バジル)30gの乱切りを加え、数分煮込んで出来上がり。

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バイ・ホーラパーで飾る

器に盛り付け、バイ・ホーラパーで飾る。ご飯はタイ米ターメリックライスにしたが、やはり白米の方がよい。

 

光前寺

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光前寺、仁王門

乗鞍高原から駒ヶ根高原に移動した日に駒ヶ根にある名刹、光前寺を訪ねた。光前寺は天台宗の別格本山の寺院で、正式には宝積山無動院光前寺という。貞観2年(860)創建とされ、天台宗信濃五山(他は戸隠山顕光寺善光寺、更科八幡神宮寺、津金寺)の一つである。仁王門には大永8年(1528)慶延作の金剛力士像が安置されている。

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苔むす参道

戦国時代には武田、羽柴家等の武将の保護を受け、徳川時代には徳川家から60石の寺領と10万石の大名格を与えられるなど隆盛を極めた。境内は樹齢数百年の杉の巨木に囲まれ、本堂はじめ10余棟の堂塔を備える長野県屈指の大寺である。苔むす参道脇の石垣の石の間には光線に反射して金色に輝くヒカリゴケが自生している。

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三門

参道の突き当たりに建つ三門は、嘉永元年(1848)に再建されたもので、上層には十六羅漢を祀っている。三門とは、三解脱門で迷いより悟りに入る門の意である。

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弁天堂と経蔵

三門をくぐると本堂前庭に鎌倉時代作庭とされる蘭渓道隆式池泉庭園がある。竜門滝の上部に鯉魚石を意匠した滝石組で、日本庭園史上貴重な石組みとされる。その右手に弁天堂が建っている。光前寺最古の室町時代の建物で、方一間の入母屋造。宝形造りの内部厨子には、明応九年(1500)作の弁財天と十五童子が安置されている。その右手奥に建つ赤い屋根の建物は、享和2年(1802)に再建された経蔵で、入母屋造妻入り。唐破風造りの向拝の建築美は近郷第一という。霊剣早太郎報恩の為に奉納された大般若経などの経巻が所蔵されている。

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本堂

開基は、円仁の弟子本聖が比叡山を下りた後、太田切川の支流黒川の滝中から不動明王像を授かり、統治に寺を創建したと伝わるが、古記録は武田勝頼織田信忠との戦いなど数々の罹災により焼失した。本堂は嘉永4年(1851)に再建されたもので、入母屋杮葺妻入、桁行5間、正面1間、軒唐破風向拝付、外壁は真壁造板張り、内部の内陣には本尊の不動明王および八大童子像が安置されている。この不動明王像は7年に一度開帳される秘仏である。他に秘宝として元和6年(1620)に制作された雨乞いの青獅子と呼ばれる木造の獅子頭がある。光前寺に語り伝えられてきた雨乞い信仰ならびにかつて青獅子が実際に芸能に用いられたことを裏付ける貴重な獅子頭である。

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霊犬早太郎

光前寺は霊犬早太郎伝説でも知られている。古くから遠江の見附には怪物が現れ村々に大きな被害を与えていた。それを防ぐため見附天神の例祭に年頃の娘を柩に入れて怪物に捧げる悲しい風習があった。延慶元年(1308)社僧一実坊弁存は怪物が信州んは弥太郎を恐れていることを知り、光前寺から早太郎を借りて柩に入れた。怪物が柩を開けるや早太郎は猛然と戦って退治したが、早太郎も深手を負い光前寺にたどり着くや死に絶えたという。以来、早太郎こそ不動明王の化身として信仰を集めている。

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早太郎の墓

本堂の左手に苔むした早太郎の墓がある。もう一方の伝承地である見附天神では、しっぺい(悉平)太郎あるいは疾風太郎と呼ばれている。見附天神の正式名は矢奈比賣神社であり、隣接地には早太郎を祀る霊犬神社がある。

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上穂十一騎之碑

早太郎の墓の向かいには、上穂十一騎之碑がある。大坂冬の陣と夏の陣で豊臣方の真田幸村配下として戦い、散った郷士駒ヶ根市西側一帯に広がる上穂郷で、武芸に秀でた農家の次男や三男の十一人。夏の陣では伊達政宗軍などと戦い、徳川方本陣にあと一歩まで迫りながら全員討ち死にした。

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三重塔

文化5年(1808)再建の三重塔は、南信州唯一の三重塔で杮葺、高さ約17mで五智如来を安置している。二層部は中央間板唐戸、脇間板壁、軒は二軒繁垂木。三層部の軒は扇垂木、三手先組物。全体に均整のとれた美と彫刻の美しさは高く評価されている。

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石造の早太郎像

本堂の入口脇に木造の早太郎像があるが、三重塔の右手前には石造の早太郎像がある。遠州見附の村を救った早太郎は、その後も見附の人々の心に残り、光前寺のある長野県駒ヶ根市と見附の村がある静岡県磐田市とは友好都市になっている。

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タマガワホトトギス

本堂前の池泉庭園の近くで黄色いホトトギスの花を見つけた。日本固有種で、本州、四国、九州に分布し、山地の沢沿いや湿った林内などに生育するホトトギス属のタマガワホトトギスTricyrtis latifolia)である。牧野富太郎によれば黄色を山吹の色に見立て、山吹の名所であった京都府の木津川の支流である玉川の名を借りて命名したという。

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本坊入口

三門手前、参道の北側に本坊があり、宝物殿と本坊客殿にある築山池泉庭園の特別拝観ができる。

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ヒカリゴケ

参道の石垣の間のヒカリゴケはなかなか見つからないが、本坊客殿の縁の下の一角に金網越しではあるが、光り輝くヒカリゴケをしっかりと観察することができる場所がある。ヒカリゴケ(Schistostega pennata)はヒカリゴケ科ヒカリゴケ属のコケで、1科1属1種の原始的かつ貴重なコケ植物である。洞窟のような暗所においては金緑色(エメラルド色)に光る。北海道と本州中部以北の湿った暗所に自生し、北半球北部の冷涼地に広く分布する。

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客殿西側の築山式池泉庭園

客殿西側の庭園は、築山式池泉庭園で、江戸時代初期策定とされ、山畔に石組と滝組を行い、その下部に池泉を意匠してある。本堂前庭園とともに国の名勝に指定されている。

 

千畳敷遊歩道を剣ヶ池へ

 

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ミヤマリンドウ

八丁坂を下り終え、千畳敷カールの遊歩道に合流し、剣ヶ池に向かう。足元に咲くこの可憐な花は、リンドウ属のミヤマリンドウ(Gentiana nipponica)という日本固有種。北海道と本州中部以北の高山帯の湿原や湿り気のあるところに自生する多年草。茎先が立ち上がり、高さ5-10cmになる。葉は対生し、卵状長楕円形で厚め。茎上部に青紫色の花を4個ほどつける。花冠は5裂し、裂片の間に小さい副片がある。

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千畳敷カールと剣ヶ池

遊歩道を進み、南側に回り込んでようやく剣ヶ池についた。宝剣岳2,931m)直下に広がる氷河地形千畳敷カールは、カール全体が「雪崩の巣」と呼ばれたりする典型的なカールである。カールとは、氷河の侵食作用によって削られたお椀状の谷で、圏谷ともいう。

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剣ヶ池に映るサギダルノ頭

剣ヶ池という名は宝剣岳に由来すると思われるが、池に宝剣岳を映しこむのは難しいので、宝剣岳の南に続く尾根に聳えるサギダルノ頭(2,858m)を剣ヶ池に映した。かなり雲が出てきて空が青くないのが残念だが。

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ゴゼンタチバナ

剣ヶ池からロープウェイの千畳敷駅まで少し登る。足元の小さな白い花は、ミズキ属のゴゼンタチバナCornus canadense)という多年草である。北海道と本州中部以北、四国の亜高山帯から高山帯の針葉樹林下や林縁に生育する。葉は2枚の対生葉と腋生の短枝に2個ずつ葉がつき、計6枚の輪生に見える。花は小さく10数個が集まってつく。白い花弁に見えるのは1cmほどの4個の総苞片で、ハナミズキヤマボウシに似る。やや盛りを過ぎている。

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シナノオトギリ

岩陰に咲いていたこの花は、オトギリソウ属のシナノオトギリ(Hypericum kamtschaticum var. senanense)という多年草。本州中部の亜高山帯から高山帯の岩礫地に生える。近縁種のイワオトギリ(var.hondoense)とよく似て、葉には黒点と明点があるが、基準標本が木曽駒ケ岳なのでシナノオトギリとしたが、厳密には萼片に黒線があることを確認すべきである。

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ハクサンシャクナゲ

こちらの花は、ツツジ属のハクサンシャクナゲRhododendron brachycarpum)という常緑低木。北海道と本州中部以北、四国の亜高山帯から高山帯の針葉樹林中に生育する。葉は厚い革質。花は白色またはほのかに紅色を帯び、枝先に十数こが集まってつく。花期は6〜7月なので、すでにほとんどの花が落ち、わずかに一輪咲き残っていた。

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ウメバチソウ

こちらの白い花は、ウメバチソウ属のコウメバチソウParnassia palustris var.tenuis)という多年草。北海道と本州中部以北の高山帯の草地や湿地、岩隙などに自生する。雄しべ5個があり、仮雄しべが糸状に7裂し、先端に黄色の腺体がつく。近縁種に、仮雄しべが15-22裂するウメバチソウと、9-14裂するエゾウメバチソウがある。

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ヤマハハコ

こちらの白い花は、キク科ヤマハハコ属のヤマハハコ(Anaphalis margaritacea)という。北海道と本州中部以北の山地帯から高山帯の乾いた草地に自生する雌雄異株の多年草。茎や葉の裏に白い綿毛がある。高さ約50cm、高山では20-30cmとなる。頭花は散房状に多数つく。総苞は直径約5mmの球形。種小名のmargaritaceaは「真珠状」の意味で、光沢のある総苞片を真珠に例えたもの。

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シャシャンボの蜜を吸うメスグロヒョウモン

千畳敷からしらび平駅に降り、バスで麓の駒ヶ根高原・萱の台バスセンターに戻る。駐車場脇に咲いていたこちらの白い花は、スノキ属のシャシャンボ(Vaccinium bracteatum)と思われる。総状花序に壷状鐘形の白い花をたくさん咲かせる植物には、ネジキ属のネジキ(Lyonia ovalifolia var. elliptica)という落葉低木もあるが、葉が革質であることから常緑低木であるシャシャンボと判断する。シャシャンボは千葉県以西の沿海地の林内、谷筋に自生するが、晩秋になると「サシブ」と呼ばれる黒紫色の実を熟し、「日本のブルーベリー」として親しまれ、庭植えされるようになっている。

左下で花の蜜を吸っている蝶は、タテハチョウ科ヒョウモンチョウ族のメスグロヒョウモン(Damora sagana)のメスである。左上には一般的なヒョウモンチョウの体色をしたオスが飛んでいるが、メスはイチモンジチョウ類に近く黒っぽく、オスメスの体色が別種のように異なる極端な性的二形を持つ。日本全国に分布するが、生息数はそれほど多くない。丘陵地の森林周辺部で各種の花に訪れて花の蜜を吸うが、飛ぶ速度は他のヒョウモンチョウのように速くはない。

まだ八丁坂下山中

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千畳敷カールの遊歩道

かなり八丁坂を下ってきて、千畳敷カールを一周する遊歩道もよく見えるようになった。

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モミジカラマツ

この白い花は、モミジカラマツ属のモミジカラマツ(Trautvetteria caroliniensis)という宿根性多年草。北海道および中部以北の高山帯の湿り気のある場所に生える。高く伸びた花茎の先に散房花序の花を多数つける。花弁はなく、目立つのは白い雄しべである。近縁種のカラマツソウによく似るが、葉の形がモミジ様になるので区別できる。

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タカネグンナイフウロ

こちらの濃紅紫色の花は、フウロソウ属のタカネグンナイフウロGeranium eriostemon var. reinii f.onoei)という多年草。本州中部地方の亜高山帯から高山帯の明るい草地に生育する、日本固有種。和名は山梨県の郡内地方に由来する。葉は掌状に深く5−7裂し、裂片がさらに3出状に浅く裂け、縁には鋸歯がある。

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アオノツガザクラ

乗越浄土でも見かけたアオノツガザクラにまた出会った。ロシア、アラスカ、カナダにも分布する。葉は互生し、広線形で密につく。茎頂に長い花柄を直立し、花を4〜7個つける。花は約7mmの淡黄緑色の壺型。先が浅く5裂し、やや下向きに開花する。

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ヨツバシオガマ

こちらの赤紫色の花は、シオガマギク属のヨツバシオガマPedicularis japonica)という多年草。日本固有種で、北海道と中部以北の亜高山帯から高山帯の広葉草原や湿地帯に生える。シダの様な葉が普通4個茎の節ごとに輪生する。花は普通4個ずつ数段になり輪生する。花冠は唇形。上唇は中程で曲がりくちばし状に尖る。下唇は深く3裂する。

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ムカゴトラノオ

この白い花は、タデ科イブキトラノオ属のムカゴトラノオBistorta vivipara)。北海道と中部以北の亜高山帯から高山帯の草地や岩礫地に生える多年草。茎は根出葉の間から直立し、枝を分けず茎先に穂状花序をつける。花に花弁はなく、萼が花冠状に深く5裂する。花穂の下部につく珠芽(むかご)が穂軸から落ちて繁殖する。

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エゾシオガマ

こちらの黄白色の花は、シオガマギク属のエゾシオガマPedicularis yezoensis)という日本固有種。北海道と中部以北の亜高山帯から高山帯の草地に生える多年草。葉は互生し、三角状披針形。葉の先は尖り、基部は切型、縁には重鋸歯がある。花冠は唇形。上唇は細長く、下唇は浅く3裂する。

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ヤマブキショウマ

こちらの白い花は、バラ科ヤマブキショウマ属のヤマブキショウマAruncus dioicus var. kamtschaticus)。北海道、本州、四国、九州の山地帯から高山帯の林縁、草地、岩場などに生育する雌雄異株の多年草。葉は2回3出複葉で、小葉は卵円形で先は尾状に細長く尖り、縁に鋸歯がある。ユキノシタ科のトリアシショウマとよく似るが、本種は葉の側脈が明瞭で、斜めに並行して10数本あり、葉縁までとどく。

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ウサギギク

この黄色の花は、乗越浄土近くでも見かけたウサギギクである。葉は対生し、2〜3対つき、無柄で、下部の葉はさじ形、上部の葉は鋸歯がはっきり見えてウサギの耳にはそれほど似ていない。