象の水飲みのあった竹崎海岸も美しい景観に恵まれた砂浜で、風向きによって強い波が立つのでサーファーが多く集まる。一方、この浜田海水浴場は沖に浮かぶ小島・奇岩の景色が印象的である。右手の断崖が海に突き刺さるあたりに穴が見える。千座(ちくら)の岩屋という海蝕洞である。
洞窟内は枝分かれしており、干潮ならば歩いて中を回ることができる。干潮のように見えるが、波が洞窟の入口に打ち寄せ始めているので、もはや入れないと諦めた。中から海と小島を眺めると幻想的だという。
千座の岩屋と反対の北側を眺めると、こちらも広い浜田海水浴場が見渡せる。海は熊野浦といい、その向こうには熊野漁港がある。
種子島に現存する最古の建築として国の重要文化財に指定されている。平成14年に保存修理され、江戸末期当時の姿に修復された。建物は座敷部と土間部からなり、正面入母屋造、背面切妻造、桟瓦葺、平面はL字型をしている。和釘(角釘)が使用され、瓦葺の下地の土居葺には竹釘が使われた。柱・梁は手斧仕上げで、雨戸は本実(ほんざね)造りと相杓造りとなっているなど、江戸時代の建築技術が濃厚に残されている。住宅から北側へ約50m離れた古市家の墓地に立つ墓碑には、永禄年中(1558-1570)に種子島家に招かれ河内国古市郡より来島し、家老清三を祖先とするとあるが、「種子島家譜」には記載がなく詳細不明とされる。
簡素にまとまった中規模な住宅ではあるが、一般農民の住宅に比べれば豪華かつ丁寧な造りであった。ちょうどひな祭りの時期だったので、屋敷内には雛人形がずらりと並べられていて、華やかだった。
古市家住宅近くの坂井豊受神社に、日本一といわれる「わざい坂井の大ソテツ」がある。「わざい」とは種子島の方言で「すごい」の意味である。