アートの島・直島を1日かけて見て回った後、フェリーで岡山県玉野市にある宇野港まで行き、電車に乗り換え岡山駅に着いた。夕食のため街中を歩くと、西川緑道公園で「西川イルミ2023」というイベントが行われていた。
街中のオアシス「西川緑道公園」が、約25万球のイルミネーションの光に包まれる。この年のテーマは「光のウィンターフェスティバル」。全長約300mのシャンパンカラーに輝く光のトンネルや、木々を照らし出すライトアップ、水面にきらめく光など、幻想的な空間を創出している。この辺りがメインの「スターライトトンネル」。
三日目は大原美術館を見に倉敷市に向かった。大原美術館前の倉敷川に沿って、倉敷美観地区が広がる。白壁の蔵屋敷、なまこ壁、柳並木など趣ある景観が楽しめる。
美しい白壁の街並みを倉敷川から観光できるのが「くらしき川舟流し」。はっぴ姿に菅笠を被った船頭さんが、白壁のいわれなど観光案内をしてくれる。
大原美術館は、日本初の私立西洋美術館として知られる。倉敷の実業家・大原孫三郎が、自身がパトロンとして援助していた洋画家・児島虎次郎に託して収集した西洋美術、古代エジプト美術・中近東美術、中国美術などの作品を展示するため1930年に開館した。展示館は、薬師寺主計の設計による、イオニア式柱を有する古典様式の本館のほかに、1961年に藤島武二、青木繁、岸田劉生など近代日本の洋画家作品や、現代美術の作品を展示する分館、同年に河井寛次郎、バーナード・リーチ、宮本健吉などの作品を展示する陶器館が開館。その後も工芸館、東洋館などが開館した。本館の玄関右側に立つ彫刻は、ロダンの「カレーの市民ジャン・ダール」(1890)。
本館の主な収蔵品は、エル・グレコ「受胎告知」(1599-1603頃)、ドガ「赤い衣装をつけた三人の踊り子」(1896)、モネ「睡蓮」(1906頃)、ルノワール「泉による女」(1914)、ゴーギャン「かぐしき大地」(1892)、セガンチーニ「アルプスの真昼」(1892)、モディリアーニ「ジャンヌ・エビュテリヌの肖像」(1919)など、教科書でよく見たような有名な作品が多い。だが、残念ながら館内撮影禁止だった。玄関の巨大な柱は、一見大理石に見えるが実はコンクリート製で、石の粉をモルタルに混ぜて、左官技術により施されている。
撮影禁止だったのでパンフから一枚だけ取り込んでみた。これがエル・グレコの「受胎告知」である。
工芸・東洋館は、江戸時代の米蔵だった建物を染色家の芹沢銈介のデザインで改装したもの。倉敷ならではの白壁の蔵が中庭を囲む一角に、赤い壁の蔵が建つのがなんともおしゃれである。