最終日は富山市内に戻って美術館や旧家を巡る。楽翠亭美術館は残念ながら休館中だったので、ガラス美術館に向かう。富山市ガラス美術館は、「ガラスの街とやま」を目指したまちづくりの集大成として平成27年に開館した。富山市図書館本館などが入居する複合施設「TOYAMAキラリ」内に整備された。世界的な建築家・隈研吾氏が設計を手がけた建物は、御影石、ガラス、アルミの異なる素材を組み合わせ、表情豊かな立山連邦を彷彿とさせる外観となっている。内部は富山県産材のルーバー(羽板)を活用した温もりのある開放的な空間となっている。
6階の「グラス・アート・ガーデン」には、現代ガラス美術の巨匠デイル・チフーリ氏の工房が制作したインスタレーション(空間芸術)作品が展示されている。こちらは、デイル・チフーリ「シャンデリア」2015年。
こちらは、デイル・チフーリ「トヤマ・フロート・ボート」2015年、H60*W917*D657cm。
こちらも同じ。回って見る方向によって、見える姿が変わっていくと、謎の天体の生き物のようにも見える。
富山市街地から北に位置する港町・岩瀬は、北前船の交易地として栄えたエリアで、江戸初期から残る町屋が軒を連ねている。馬場家は、江戸後期から活躍した北前船主・廻船問屋の家である。屋号は「道正屋」で、道正村より移り住んだことに由来する。当住宅は明治6年の大火の後、以前の部材を用いて建てられたと考えられている。主屋のほか3階建ての前蔵・壱番蔵・弐番蔵、二千石の広大な米蔵、西門及び西塀が現存し、国の登録有形文化財となっている。
当家は19世紀前半、7代当主久兵衛の頃より北前船交易を活発に行い、隆盛の礎を築いた。明治中期、8代当主の時、北前船から汽船経営に舵を切り、明治36年(1903)には馬場合資会社を設立、近代的な開運業者へと成長した。当家は「岩瀬五大家」の筆頭に挙げられ、北陸の「五大北前船主」の一つにも数えられている。
北前船廻船問屋・森家は、明治11年に建てられたもので、吹き抜けの梁や指物、帯戸の豪華な造りが特徴である。前庭を持ち三列四段の間取りをとる東岩瀬廻船問屋型町家の代表である。建物は、現在80.2坪で、表から母屋、道具蔵、米蔵、肥料蔵と続いていたが、今は米蔵と肥料蔵はない。国指定重要文化財となり、日本遺産にも認定されている。