半坪ビオトープの日記

マドリード、プラド美術館

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環境農林水産省

マドリードのアトーチャ駅に戻り、プラド美術館に向かうと、右手に豪奢な建物がある。環境農林水産省の庁舎である。曲面マンサードと呼ばれるドーム型屋根がアクセントとなっている。ファサードの上にある大きな彫刻は、スペイン政府公式彫刻家アグスティン・ケロルが制作したオリジナルの石像をブロンズ像にリメイクしたもので、両端はペガサスのようだ。

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ムリーリョの銅像

エンペラドール・カルロス5世広場を右に折れると、王立植物園の塀際をプラド美術館に向かう。王立植物園とプラド美術館の間にムリーリョの銅像が建っている。何枚もの『無原罪のお宿り』で有名なエステバン・ムリーリョ(Esteban Murillo)は、1618年にセビリアで生まれたバロック期の画家で、生涯の大部分をセビリア周辺で過ごしている。

プラド美術館は、歴代のスペイン王家のコレクション約300点を中心として1819年に開館し、現在では3万点以上の絵画や彫刻を所蔵する、ヨーロッパでも屈指の美術館である。チケット売り場や入口は北側にあるが、この日は南側のムリーリョの扉から入ることができた。それでも30分は並んだ。

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エル・グレコ『羊飼いの礼拝』

プラド美術館には約7,600枚の油彩画、約1,000点の彫刻、約4,800枚の版画などが収蔵され、常設展示も約1,400点に及ぶ。主に1219世紀のスペイン、イタリア、フランス、フランドル絵画を展示しており、エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤティツィアーノルーベンスなどの作品は充実している。よく知られた絵画が多いが、残念なことに撮影禁止なので、不鮮明だがパンフの切り抜きをいくつか載せる。まず最初に、エル・グレコの『羊飼いの礼拝』(La Adoración de los Pastores, 1612-14)。過剰なほど細長くデフォルメされた人体や独特な光の表現方法により、神秘的で深い精神性を感じさせる宗教画を作り出している。

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ベラスケス『ラス・メニーナス(女官たち)』

次は、ベラスケスの『ラス・メニーナス(女官たち)』(Las Meninas,1656)セビリアに生まれ、宮廷画家として活躍したベラスケスの最高傑作。画面中央に立つ王女と女官たち、左側に絵筆を持つ画家自身が、奥の鏡に映るフェリペ4世と王妃の視点から描かれている。ミシェル・フーコーが『言葉と物』の冒頭で分析を加えていることでも有名な絵画である。

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ムリーリョ『無原罪のお宿り』

こちらの宗教画が、ムリーリョの『無原罪のお宿り』(La Inmaculada,1678)。「スペインのラファエロとも呼ばれるセビリア生まれの画家。17世紀に広がった聖母マリア信仰を絵画に表現し、その可憐なマリア像は大衆の人気を呼んだ。

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ティントレット『弟子の足を洗うキリスト』

こちらは、ティントレットの『弟子の足を洗うキリスト』(El Lavatorio,1548-49)ティツィアーノの工房で学び、ヴェネチア派の流れを受け継ぐ画家。画面右に弟子の足を洗うキリスト、その頭上には「最後の晩餐」の場面が描かれている。

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ルーベンス『三美神』

こちらは、ルーベンスの『三美神』(Las Tres Gracias,1635)フランドル地方で活躍し、王の画家にして画家の王とも呼ばれた、バロック期の絵画を代表する巨匠。ルーベンスはこの作品を生涯手放すことはなく、没後に購入したフェリペ4世は他にも彼の作品を多数収集した。プラド美術館ルーベンス・コレクションは世界最高の質と量を誇る。

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ゴヤ『着衣のマヤ』

こちらは、ゴヤの『着衣のマヤ』(La Maja Vestida,1797-1803)。お目当の『裸のマヤ』(La Maja Desnude,1797-1800)は、残念ながら他所へ貸出中だった。モデルは宰相ゴドイの愛人とされる。