半坪ビオトープの日記


中田代の下ノ大堀川の河畔にヤマドリゼンマイ(Osmunda cinnamomea var. fokiensis)の大きな群落があり、この構図はよく撮られている。ヤマドリゼンマイは、日本各地の山地の乾燥気味の湿原に生えるシダで、初夏の黄緑の葉はたいへん鮮やかだが、尾瀬ケ原の乾燥化が進んだための増殖なので喜んでいるわけにはいかない。川の向こうに見えるのは景鶴山(2004m)だろう。

尾瀬にはいくつものスミレの仲間が自生している。この小さなツボスミレ(Viola verecunda)は、日本全土の山野の湿ったところに生える。和名のツボは壺(庭)の意という。別名のニョイスミレは、葉の形が僧の持つ如意(仏具)に似ることによる。唇弁に紫色の筋がある。

こちらのワタスゲに似たものは、ワタスゲ属のサギスゲ(Eriophorum gracile)という。中部地方以北と北海道の高原や湿原に生える多年草で、ワタスゲと同じような綿毛が目立つが、球状にはならず筆状になる。

竜宮十字路で左折しヨッピ吊り橋の方へ向かうと、まもなく右手にヤマドリゼンマイの大きな群落に出会う。

足下の木道沿いには、あいかわらずタテヤマリンドウも群生しているが、中に一つピンク色の花が咲いていた。ほとんどが青い花で白花種もあるということなのだが、見飽きるほど何千と青い花を見てきた後なので、とても新鮮に感じた。

ようやくヨッピ川に架かるヨッピ吊り橋に出た。ヨッピ川はこれまでで一番大きく吊り橋もがっしりしている。景鶴山の麓に近く植相も一変する。