半坪ビオトープの日記


ヨッピ橋のたもとに咲いていたのは、ムラサキ科キュウリグサ属のタチカメバソウ(Trigonotis guilielmi)である。本州と北海道の山地のやや湿ったところに生える多年草で、枝先の総状花序に径5〜7mmの白色あるいは淡青紫色の花を多数つける。5裂する花冠の中央の花筒は鮮やかな黄色である。立亀葉草とは、茎が立ち葉の形が亀の甲に似ることによる。

ヨッピ橋を渡ると湿原というより草原になり、木道の真中には「ツキノワグマ出没注意」の立て札があった。赤紫色のランは、ハクサンチドリ(Dactylorhiza aristata)である。中部地方以北と北海道の亜高山帯から高山帯の草地に生える多年草で、高さは10〜40cmになり、総状花序に十数個の花をつける。萼片も花弁も先が鋭く尖る。

草原の先の森の一角に東電小屋が見えてきた。燧ヶ岳の手前の左手の山は与作岳(1933m)の尾根であり、この辺りはヨシッ堀田代という。

東電小屋は、燧ヶ岳、至仏山尾瀬ケ原を眺めることができる山小屋であり、太陽光発電をいち早く採用している。2階の展示室では各種資料も閲覧できるという。

東電小屋から赤田代へ向かう途中に東電尾瀬橋がある。わずかの間に川の流れは急に大きくなっていて、川の名前もヨッピ川から只見川に変わっている。この先3kmほどに三条の滝があるのだが、今回も時程の都合上寄れない。何度も来ている尾瀬なのだが、見残しているところがまだあると気づく。

尾瀬橋を渡るとこの日初めて見るコイワカガミ(Schizocoden soldanelloides form. alpinus)の群生に出会った。中部地方以北と北海道の高山の草地や岩礫地に生える常緑の多年草である。