半坪ビオトープの日記


山の鼻から牛首分岐までの湿原を上田代といい、尾瀬ケ原全体でミズバショウが最も多く咲き残っていると思われる場所である。
6月も下旬になるとさすがに少なくなっていたが、それでも遅咲きのミズバショウをアップすれば、やはり尾瀬にはミズバショウがよく似合うと感じる。

樹林帯を横切る時にもミズバショウが多く残っているが、多分残雪が多かったのだろう。振り返ると木道の彼方に至仏山が見えたので、ミズバショウ至仏山を撮ってみた。

渓流沿いにズミ(Malus sieboldii)の花が満開に咲いていた。日本各地の山地に生えるリンゴ属の落葉小高木で、リンゴの花によく似ていて、別名コリンゴ、コナシ、ミツバカイドウとも呼ばれる。小さな赤い実がなるが酸っぱいので酸実という名がついた。奥日光の戦場ヶ原や光徳沼の大群落が壮観で有名である。

広い湿原ではヒメシャクナゲ(Andromeda polifolia)の花が目立って多くなってきた。中部地方以北と北海道の高層湿原あるいは寒帯湿原に生える常緑小低木で、高さは20cm前後になる。
花期は6〜7月。枝の先端に数個のピンク色の花をつける。花柄、萼片もピンク色で、壺形の花冠も6mmほどと小さく可愛らしい。別名、ニッコウシャクナゲというように、日光や尾瀬の湿原に多く見られる。ヒメシャクナゲ属のAndromeda という属名は、ギリシャ神話に出てくる美女の名前。エチオピアの王女で、国を救うために怪獣に人身御供となり、ペルセウスに助けられ、その妻になったという。

進行方向の燧ヶ岳は東北東にあり、逆光に近いのでかすんで見えるが、標高差は1000m近くあるので堂々と聳えている。ワタスゲの群落が広がってきた。

振り返ると至仏山から離れてきたせいか樹林帯から距離をおいたせいか、こちらも全体像が見えるようになったが、優しい感じがする山姿である。