半坪ビオトープの日記

栂池高原自然園

栂池高原自然園、タマガワホトトギス
今年は春に佐渡、初夏に五島列島に出掛け、8月初旬には長野県の栂池高原を散策した。麓の栂池高原駅(839m)からゴンドラリフトで栂の森駅(1582m)に行き、ロープウェイに乗り換えて自然園駅(1829m)まで上がる。足腰が弱くなったので、リフトなどが利用できるのはまことに助かる。途中の乗り換え駅付近で、黄色いタマガワホトトギスTricyrtis latifolia)の花を見つけた。日本各地の山地に生える多年草で、高さは30100cmになる。茎先の散房花序に黄色で内側に紫褐色の斑点がある花を2〜3個つける。京都の玉川にあるヤマブキの黄色の花を思い出してこの名が名付けられたという。

ミヤマシシウド
その近くに、大きなミヤマシシウド(Angelica pubescens var. matsumurae)の花が咲いていた。本州の高山に生える多年草で、高さは1mに達する。葉は2〜3回3出複葉で、茎先に大きな複散形花序をだし、白色の小さな花を多数開く。

サラシナショウマ
ロープウェイの自然園駅から400mのビジターセンターから自然園に入る。途中で見かけた、フサフサしたトラノオのような白い花は、キンポウゲ科サラシナショウマCimicifuga simplex)。日本各地の落葉樹林内や草原などに生える多年草。高さは40150cmになる。茎先の総状花序に柄のある白い小さな花を蜜につける。雄蕊は多数、雌蕊は2〜8個で柄がある。

風穴に残雪
20分ほど木道を歩くと、道端の岩の間に残雪が垣間見られた。冷たい風が吹き出す風穴だ。

キヌガサソウ
大きな葉が輪生する真ん中にすでに花後になったキヌガサソウParis japonica)の姿があった。本州中部地方以北(日本海側)の深山に生える多年草で、倒卵状楕円形で長さ2030cmの葉が8〜10枚輪生する。白い花弁のように見える外花被片は6〜11個あり、花後紅紫色を帯び、果期に薄緑色になる。緑色の子房がすでに膨らみ始めている。液果は後に黒紫色に熟し、甘くなり食べられ芳香がある。1属1種の日本固有種で、本種のみでキヌガサソウ属を構成する。

ワタスゲ湿原
ようやくワタスゲ湿原となる。ここまではほぼ平らの木道で、標高はまだ1870mほどである。

ワタスゲ
ワタスゲeriophorum vaginatum)もあちこちに見つけられるが、球状の果穂は盛りを過ぎている感じだ。ワタスゲ中部地方以北および北海道の高層湿原に生える多年草で、花期は6〜7月、白い綿毛を風に靡かせる姿は高層湿原ならではの風情がある。

ミツガシワ
こちらの白い花も高層湿原でよく見かけるミツガシワ(Menyanthes trifoliata)。ミツガシワ属の1属1種の多年草。日本を含む北半球の主として寒冷地に分布し、高層湿原や低地の浅い水中に生える。花茎の先に総状に白い花をつける。ニホンジカの大好物で、尾瀬などでの被害は甚大とされる。氷河期からの残存種といわれる。

ミソガワソウ
こちらの紫色の花は、シソ科イヌハッカ属のミソガワソウNepeta subsessilis)という多年草。日本固有種で、北海道、本州中部地方以北、四国の石鎚山に分布し、亜高山帯の草地や深山の渓流沿いなどに群生する。花冠は紫色。唇型で上唇は浅く2裂し、下唇は3裂する。和名は、木曽川源流部の長野県の味噌川に由来する。

浮島湿原

ワタスゲ湿原を過ぎると岩がゴロゴロ積み重なる坂道を抜けて浮島湿原に出る。晴れていれば行く手に白馬岳(2932m)が見えるのだが、雲に遮られて見えない。ここから見えるのは、白馬岳より右手前の小蓮華山(2766m)と思われる。白馬岳は今から30年ほど前に白馬大雪渓から登ったことがあるが、残念ながら懐かしいのは景色より当時の足腰・体力である。

タテヤマリンドウ
丸いイワイチョウの葉の間に見える小さな花は、タテヤマリンドウGentiana thunbergia f. minor)という多年草である。北海道および本州中部地方以北の日本海側に分布し、高山・亜高山帯の湿地に自生する、日本固有種。高さは10cm前後。花冠は5裂し、裂片間に副片があり10枚に見える。淡青紫色〜帯紫白色の花を茎先に1個ずつ咲かす。

ミヤマアキノキリンソウ
こちらの黄色い花は、登山道でよく見かけるミヤマアキノキリンソウSolidago virgaurea subsp. leiocarpa)。日本のほか北半球の高山や草原などに広く生える多年草。高さは1070cmで、黄色い頭花は円錐状または穂状に集まって咲く。別名、コガネギク。