半坪ビオトープの日記

鬼舞展望所、通天橋、観音岩

鬼舞展望所
西ノ島の最南端の尾根は、島前カルデラの外輪山の尾根筋で、鬼舞スカイラインの終点に鬼舞展望所がある。駐車場から牧草地の柵に沿って10分ほど登っていく。

鬼舞展望所から西を見る
南東には赤灘の瀬戸を挟んで知夫里島の赤ハゲ山へ続くが、西に目を転じると今来た駐車場からさらに西へ岬がいくつも突き出ているのが見える。黒っぽい岬の向こう側に三度という集落がある。神代の昔、天照大神が天鈿女命を従えて降臨された時、出迎えた猿田彦命と三度目にようやく出会えたことから、三度(みたべ)という地名がつけられ、猿田彦主祭神とする神社は、天照大神を待っていた場所であることから待場神社と名付けられたという。一番奥に見える大きな岬の先端には、その向こうに景勝地の国賀海岸を見晴らす赤尾展望所がある。

鬼舞展望所から北を眺める
鬼舞展望所から北を眺めると、ちょうど真北が浦郷地区で、左の入江が由良比女神社のある由良の浜で、小さな半島を挟んで右側が浦郷港、その右手に船引運河を渡る西ノ島大橋がかすかに見える。

鬼舞展望所から北東を眺める
さらに右手(北東)には、次第に高度を増す山並みが見える。一番右手の頂が焼火神社のある西ノ島最高峰の焼火山である。こうして鬼舞展望所から、島前カルデラと中央火口丘(焼火山)を一望できる。

放牧されている牛の群れ
鬼舞スカイラインを戻る途中、放牧されている牛の群れを見つけた。隠岐島前の高台は、なだらかな丘陵を生かして、中世から1970年頃まで「牧畑」と呼ばれる独特な輪転式農法(土壌の栄養保持と、労働力の生産と、食糧生産を同時に行う4回転式の農法)が行われていた。牧と畑を分けるために築かれた合垣と呼ぶ石垣が牧草地の縁に組まれていて、その名残がところどころに見受けられるという。

肉用牛の季節放牧
西之島の放牧は、主に肉用牛の季節放牧で、冬季は牛舎で飼育する。全て子牛の生産を目的とした繁殖経営で、肥育経営は行われていない。西ノ島で生まれ育った子牛を中ノ島(海士町)等で肥育して販売されている。

通年放牧の馬
肉用馬の生産も行われているが、馬は通年放牧である。

赤尾展望所より大神立岩を見る
鬼舞スカイラインを戻り、今度は西の赤尾スカイラインに入り、国賀海岸を間近に見下ろす赤尾展望所に着く。南西を眺めると大きな岬の影に尖塔のようなものが見える。国賀海岸の南部、鯛の鼻の近くの海に聳り立つ、高さ17mの大神立岩であろう。

赤尾展望所より国賀海岸の通天橋を見る
赤尾展望所より北に国賀海岸の通天橋などが見えるのだが、少し戻ったところから見た方が背後の魔天蓋も含めて全体がよく見えた。赤尾展望所は、空一面が夕焼け色に染まる時間帯の美しさが名高く、「日本の夕陽百選」に認定されている。眼下には国賀浦が細長く横たわり、その奥に国賀海岸の代表的奇岩・通天橋が認められる。この後、近くまで行くつもりだが、その右手に高く聳え立つ魔天崖はここから上部だけでも見ておきたい。海抜257m、実に70階建てのビルの高さを誇る日本有数の断崖は、何十万年もの歳月をかけて、波風に削り取られて形成された。崖の上は一面緑の草地となっていて、牛や馬が放牧され、遊歩道があり国賀浜まで歩いて下ることもできる。

「通天橋」や奇岩エリア
アップしてみると、アーチ状の岩の架け橋「通天橋」や天上界と呼ばれる奇岩エリアが見える。国賀海岸遊覧船に乗ることができれば、通天橋の右手にある海蝕洞である「乙女御殿」や「観音岩」「象鼻岩」「滝見の岩屋」「国賀の赤壁」「明暗(あけくれ)の岩屋」などを巡ることができたのだが、晴天でも欠航では仕方ない。

由良比女神社の右手の山桜

国賀海岸に近寄るため、一旦、由良の浜近くに戻ると、由良比女神社の右手に続く岬の山に山桜が咲き誇っていた。

国賀ロータリーから観音岩
国賀海岸は、駐車場から国賀浜、通天橋遊歩道に下っていくとよく見えるが、この国賀ロータリーからも天上界という奇岩エリアはよく見える。正面のどっしりと空に向かう大岩が象鼻岩、その右の細長い岩が観音岩。

ローソク岩」とも呼ばれる観音岩
観音岩は奇岩の中でも切っ先鋭く聳え立ち、高さは約40mに及ぶ。海上からは百済観音の姿にも見えることから「観音岩」と呼ばれるが、陸上から、太陽が沈む頃にうまくすると火が灯ったローソクに見えることから「ローソク岩」とも呼ばれる。その時期は春と秋の各一ヶ月ほどである。

観音岩と蛙岩
観音岩の右手の大きな岩は蛙岩という。その手前には通天橋へと続く遊歩道が見えるが、先を急ぐため省略した。