半坪ビオトープの日記

沖縄料理「ちぬまん」


ブセナ半島の少し南、かりゆしビーチの近くにある「恩納サンセットモール」は、「食べる・体験する・買う・見る」をテーマとする複合施設だが、メインは沖縄料理店「ちぬまん」である。「ちぬまん」とは、テングハギの沖縄方言で、刺身などが美味しい魚の名である。島唄三線ライブを楽しみながら沖縄料理に舌鼓を打つこと間違いなく、予約すれば送迎もしてくれる。これが沖縄の郷土料理でも有名な「海ぶどう」。正式にはクビレズタ(括れ蔦、Caulerpa lentillifera)という海藻で、グリーンキャビアとも呼ばれ、沖縄では昔から食用にしている。鹿児島県や国外では東南アジア、オセアニアなどの浅海域にも分布する。

こちらはアグー豚の陶板焼きとチキアギ。アグー豚は、沖縄固有の貴重な豚で、今から約600年前に中国から導入され、沖縄で飼い続けられてきた小型の「島豚」が由来とされる。チキアギとは、魚肉に人参とごぼうを入れて油で揚げた練り製品。さつま揚げは鹿児島では「つけ揚げ」とも呼ばれ、沖縄の「チキアギ」がそのルーツといわれるが、その逆かもしれない。

予約した人には「マグロの刺身」がサービスで出された。少しずつだがそれでも嬉しい。

沖縄独特の島らっきょうは、本土のより小ぶりで香味が強い。泡盛の肴として塩漬けにして鰹節とあえて食べたり、天ぷらや甘酢漬けのほかチャンプルーの具材にも使われる。

刺身の盛り合わせには、マグロや地物の魚が含まれていて、どれも新鮮で美味しい。

こちらは豚足の唐揚げ。

野菜などの炒め物、沖縄家庭料理定番のチャンプルーもいろいろ揃っている。これは島豆腐チャンプルー。内地の豆腐は、水につけた大豆を挽いた汁(生呉汁)を煮てから濾す「煮とり法」という製法で作るが、島豆腐の場合は、生呉汁を生のまま濾して、その後に煮る「生絞り法」と呼ばれる製法で作るという。水切り前のふわふわした豆腐は「ゆし豆腐」と呼ばれ、水切り後は本土の豆腐より硬くなり、チャンプルーなどの調理でも型崩れしにくい。

こちらはタマンの塩焼き。タマンとは、ハマフエフキというフエフキダイの仲間で、沖縄では高級魚として知られる。「マクブー(シロクラベラ)」、「アカジンミーバイ(スジアラ)」と並んで、美味しい沖縄の磯魚御三家の一つに数えられている。刺身、魚汁が美味だが、塩焼きも美味しく、夏場がトップシーズンである。

沖縄料理店「ちぬまん」は、地魚などの美味しい沖縄料理のほかに、毎日開催されている琉球三線島唄ライブも人気の的である。料理と泡盛で盛り上がった宴会が、三線島唄の短いミニライブでも最高潮に達する。

泡盛でほろ酔いになって帰る頃には、「ちぬまん」の入り口も明かりが灯って、赤い屋根瓦が青白く浮き上がっていた。

翌朝、穏やかな黄瀬ビーチからブセナ半島を眺める。半島の付け根の向こうに、前夜の沖縄料理店「ちぬまん」があったのだなと確かめる。