半坪ビオトープの日記

古宇利島・ティーヌ浜、ブセナ海中公園


本部半島の東部にある名護市に属する屋我地島の北にある、今帰仁村に属する古宇利島には、約2kmの古宇利大橋を渡って行く。面積約3㎢、周囲約8kmのほぼ円形の隆起サンゴ礁の島で、3段ほどの海岸段丘で囲まれている。その古宇利島の最北にティーヌ浜があり、そこのハート形の岩がハートロックと呼ばれて、近年人気のスポットとなっている。

古宇利島は神が宿る島といわれ、七森七御嶽と呼ばれる拝所が残るほか、アダムとイブの物語に似た伝承が残っている。昔、古宇利島に空から男女二人の子供が降ってきた。全裸の二人は毎日天から落ちる餅を食べて幸福に暮らしていた。だがある日、餅が降らなくなったらどうしようと疑念を起こし、毎日少しずつ食べ残し蓄えを始めたところ餅が降らなくなった。二人は魚や貝を捕って生活と労働の苦しみを知り、ジュゴンの交尾を見て男女の違いを意識し、恥部をクバの葉で隠すようになった。この二人の子孫が増えて子孫が琉球人の祖となったという神話である。昔、古宇利島はクイジマあるいはフイジマと呼ばれていた。語源には諸説あるが、恋島がクイ島となり、古宇利島へと変化していったという説が根強いのは、この神話と関係していると考えられている。

二つの岩はどちらもハートの形に似ているのだが、二つの岩を移動しながら眺めた時に、二つが重なると綺麗なハート形に見えることからとりわけカップルに人気があるという。

ティーヌ浜には駐車場からかなり下って行くので、靴はしっかりしたものがよい。けれども、素敵な浜辺で水浴びもしたいと思うなら、水着とビーチサンダルも必要だろう。白い砂浜とエメラルドグリーンの海は、のんびりするにはもってこいの場所である。

ハートロックもなかなか綺麗には見えないが、数百年、数千年もの波の浸食でできた、隆起サンゴ礁の風変わりな造形には興味を惹かれる。写真を撮る人が多く集まると賑やかだが、人気が引くと静かな砂浜となって、小さな入江は一幅の絵となって見る人を和ませる。

古宇利島にはティーヌ浜の他にもトケイ浜、チグヌ浜、ソウヌ浜、古宇利島ビーチなど素敵な浜辺があり、高台に建つ古宇利オーシャンタワーからは古宇利島周辺の絶景が一望できる。古宇利大橋を渡って屋我地島に戻ると、左手に松島のように小島がいくつも海に浮かんでいた。

本日最後のイベントとして、部瀬名岬の西側に広がるブセナ海中公園に向かう。海中展望塔もあるのだが、ボートの方が面白い体験だろうとグラス底ボートに乗ることにした。駐車場から海岸沿いの遊歩道を10分ほど歩く。

遊歩道の両脇には、沖縄独特の植物が随所に植えられている。これは万座毛でも見かけたクサトベラ(草海桐花、Scaevola taccada)で、高さは1〜2mになる。葉は茎の先に集まって互生し、下部は木化するが、柔らかいのでクサトベラと呼ぶ。夏に咲く花冠は扇状に5裂し、白くて紫色の筋があり、開花後次第に黄色くなる。

こちらはよく知られているハイビスカス。アオイ科フヨウ属(Hibiscus)の植物の総称だが、日本ではその中でも熱帯及び亜熱帯性のいくつかの種がハイビスカスと呼ばれ、代表的なのはブッソウゲ(仏桑華、Hibiscus rosasinensis)である。園芸用として色々な花色の品種が出回っている。

こちらも沖縄ではよく見かけるアリアケカズラ(Allamanda cathartica)である。南米ギニア原産のアラマンダ属の常緑蔓性半耐寒性の熱帯性低木で、ゴールデン・トランペットとも呼ばれる。花径8cmほどの筒状花の先端は5裂し、黄色く鮮やかである。

部瀬名岬の西岸を発着するクジラ型船体の遊覧船は、サンゴ礁とそこに生息する色とりどりの熱帯魚を鑑賞できるように、ボート中央部の船底がガラス張りとなっている。にわか雨がパラパラ降り出してくる中、なんとか出航したがやはり海の中も少し濁っているようだった。

グラス底ボート乗り場の先に、陸地から170mの歩道橋で繋がる海中展望塔が設置されている。内部は螺旋階段で、水深5mの底部に円形窓が設けられ、海中の熱帯魚を鑑賞できるようになっている。