半坪ビオトープの日記

小来川そば「山帰来」


大谷資料館から今市を抜けて鬼怒川の龍王峡に向かう途中、遠回りして山間の日光市小来川(おころがわ)にある「山帰来(さんきらい)」という手打ち蕎麦屋に立ち寄った。店舗のログハウスにもこだわっている。現代ログハウスの神様と呼ばれるアラン・マッキーに、ここ小来川で教えを受けた、全国で活躍している5人のログビルダーにより、小来川産の樹齢80年の杉160本をハンドカットしたログ材を用い、伝統的工法と独創的工法を駆使したログハウスを建てた。地元若者を蕎麦職人に育成するなど、小来川の「木材、食材、人材」にもこだわっている。

蕎麦の自家栽培・自家製粉・すべて手打ちにこだわる「山帰来」は、小来川地区を自分の故郷のような気持ちで、訪ねて来るのではなく、帰って来る場所として「山に帰って来る」のであり、ここで心身を癒し、再び街に帰って行く場所として「山から帰って来る」というコンセプトを基本としている。

麺と器の数に限りがあるという、評判の「山帰来十割もりそば」は、小来川で栽培された玄そばを自家製粉した「挽きぐるみそば粉」で打った十割(生粉打ち)そばである。

「挽きぐるみ」とは、玄そばの甘皮部分まで挽き込んだもので、香りやルチンなどの栄養分も丸ごと詰まっていて、とても味わい深い。
十割蕎麦はすぐ品切れとなるが、ほかに二八そばを使用したもりそばや湯波そば、辛み大根おろしそばなどもある。一品料理には、ゆばと季節の野菜の天ぷら、ゆばの刺身などがある。

使用している器は、象嵌益子焼陶芸家として知られる佐伯守美の樹木文の器である。蕎麦つゆ入れと蕎麦猪口の樹木文は、佐伯守美のトレードマークとも言える欅の象嵌彩樹木文であり、赤絵線文湯呑(共箱)は店で販売されていた。
裏を流れるせせらぎ(黒川と西黒川の合流地点)を見ながら、こだわりいっぱいの蕎麦をゆったりと味わうことができるのは、望外の幸せである。これからも日光・鬼怒川方面に行くときは、遠回りしてもぜひ立ち寄りたいと思う。