半坪ビオトープの日記

龍王峡


鬼怒川温泉川治温泉の中間に、鬼怒川に沿って散策できる龍王峡という美しい渓谷がある。龍王峡駅の下の五龍王神社から川治温泉薬師の湯まで、約7kmの遊歩道が整備されていたが、昨年の台風による豪雨で被害を受けて、五龍王神社から約1.5kmの大観の先で折り返すことになっている。

その昔、五龍王神社の神像は鶏頂山弁天沼の畔に祀られていたが、享保8年(1723)の貴奴川(五十里)の大洪水で弁天沼を離れ、各地を廻った後、昭和4年に現在地に鎮座した。その大洪水の後、鬼怒川と呼ばれるようになったという。昭和32年に大鳥居や拝殿などが建てられ、龍王峡の名の由来となったが、老朽化のため平成10年に改修された。

五龍王神社の右裏手に見える滝は、虹見の滝という。滝のある野沢は、角閃輝石閃緑玢岩(ひんがん)という火山岩の岩脈からできていて硬い岩石だが、本流の鬼怒川は流紋岩でそれほど硬くない。その上、本流の鬼怒川は水量が多く、浸食作用が大きいことから、合流点で河床の高さに差ができて滝になったものであり、このような滝を懸谷と呼ぶ。

五龍王神社の左裏手に見下ろせる鬼怒川には、虹見橋という歩行者専用の橋が架かり、橋の上から龍王峡の眺めを楽しむ人が見える。

五龍王神社から虹見の滝の上を横切り、左の虹見橋は渡らずに、鬼怒川の右側(左岸)を上流に向かって進むと、むささび茶屋に出る。ここまでは白龍峡と呼ばれるが展望はほとんどきかない。そのまま進むと、大観という展望台のような名勝があり、その先は立ち入り禁止となっていた。大観は、全国観光地百選渓谷の部で第5位に輝く絶景で、上流には五光岩や兎はねという造形美が見られるというが、どれだか見当がつかない。この辺りは青龍峡と呼ばれ、兎はねの先は紫龍峡となる。早く遊歩道が復旧して先まで散策したいが、この辺りは湿気が多く、山蛭(ヤマビル)が多いというので足元には注意したい。

大観からむささび橋まで戻り、橋の上から下流(白龍峡)を眺めると流れは穏やかに見える。

上流を眺めると、下流に比べて峡谷が細く狭まり深くなっているのがよくわかる。

むささび橋を渡りきってから振り返ってみると、橋の向こう岸の左手にむささび小屋が垣間見られた。

今度は鬼怒川の右側(右岸)を下っていくと、20分ほどで虹見橋に着く。川幅はかなり広がってきて、上流を眺めてみても流れはかなりゆるくなっている。

対岸には虹見の滝の落ちる様が眺められ、その右手上には出発点の五龍王神社がかろうじて認められる。

下流を眺めると、川の流れは瀞のようにゆったりとして、峡谷の終わりとなっている。