3日以降は対馬空港近く、雞知にあるホテルに連泊した。ここでの食事やその他のことを綴る。おまかせ郷土料理ということで、トコブシ煮や刺身などの海鮮に小鍋がついている。右上の黒い太麺が入った郷土料理の「ろくべえ」だ。
「ろくべえ」はサツマイモの澱粉を乾燥させた「せん」という保存食の団子を麺にして、魚の出汁で鍋にしている。
休館中の対馬野生生物保護センター近くで、ツシマヤマネコによく似た猫を見かけた。額の縦縞がもっと黒くて耳がもっと丸いとツシマヤマネコといえるが、やはり違うようだ。それでも体の不鮮明な斑紋はとてもよく似ているので、ひょっとしたらツシマヤマネコとの雑種の野良猫かもしれない。
上県町の佐護から北東の上対馬町の比田勝に向かうとすぐ、佐須奈の集落に着く。そこに対州そば処、そば道場・あがたの里がある。
日本のそばは、縄文時代後期に中国大陸から朝鮮半島を経由して伝わったとされる。その原種に近い対州そばは、小粒で風味が強い独特の味がする。つなぎを一切使わずに打つ対州そばは、対馬の名産である。ここでは天然蕎麦粉を使ったそば打ち体験もできるし、そば打ちの様子を見ることもできる。
いりやきそばは、対馬産の地鶏でじっくり煮込んだ出汁で食べる。
ごぼう天そばは、パリッとしたゴボウの風味を楽しむ。対州そばコーヒーは、コーヒーに蕎麦の風味をプラスしている。
売店では、佐護茶、対馬ふうき、紅ふうきの対馬紅茶など珍しいお茶が売られている。佐護茶は、無農薬・化学肥料不使用で育てた「おくみどり」という品種のお茶。対馬ふうきとは、「べにふうき」という品種の茶葉を半発酵させた釜炒り茶である。
売店の一角に「絶滅の危機にあるツシマヤマネコ」の写真が掲げられていた。夕暮れの森の木の上で辺りを警戒する姿は野生感が溢れている。先程の野良猫とは雲泥の差だ。
毎晩飲み継いできた麦焼酎と純米酒も少なくなってきたので、黒麹仕込みの芋焼酎「伊藤」を買い足した。
この日の夕食は、サザエなどの刺身のほか、郷土料理の「とんちゃん」もでた。焼肉用に味付けした豚肉に野菜を足して焼肉鍋で油を引かずに焼き上げる。対馬在住の韓国人から伝わった焼肉料理を島民の口に合うよう地元で工夫を重ねてきたものという。
鯛のカマの大根煮もよく煮込んであって美味しい。