半坪ビオトープの日記

高千穂峡、遊覧ボート


遊覧ボート乗り場は、崖に作られた仮設の階段を下りていく。途中、湿った岩壁にイワタバコ(Conandron ramondioides)の薄紫色の花が咲いていた。本州以南および台湾に分布するイワタバコ科の多年草で、花茎の先に散形花序をつけ8月頃に開花する。花が美しいので山草として好まれる。若葉が食用にできることから、別名イワヂシャ(岩萵苣)ともいう。

朝早くから2時間並んで、ようやくボートに乗ることができた。流れが緩くなった乗り場から、御橋の下をくぐり、真名井の滝に近づいていく。

高千穂峡のシンボルとなっている真名井の滝は、高さが約17mあり、「日本の滝100選」にも選ばれており、岸壁から流れ落ちる滝は荘厳そのものである。

天孫降臨の際、この地に水がなかったので、天村雲命(あめのむらくものみこと)が水種を移した「天の真名井」から湧き出る水が滝となったと伝えられている。

水量が多く、迸りながら広がって流れ落ちる水に濡れないよう気をつけながら、滝を回り込んで進む。逆光の中、見上げる御橋の小さな人影と比べても滝の迫力がよくわかる。

真名井の滝あたりは両側とも直立する柱状節理の崖となっていて、滝を越えて上流に向かうとようやく天空が開けてくる。 

右手に鬼八の力石がある石の河原をやり過ごすあたりでは、柱状節理が一旦消えるが、まだ先に行けそうなので次々にボートを抜き去りながら進む。

ボートを見かけなくなるほど上流に進むと、またもや屹立する柱状節理の崖に囲まれるようになる。

高千穂峡も幅がだんだん狭まってくる。そろそろ五ヶ瀬川の中で最も川幅の狭い槍飛に近づいたようだ。

後ろを振り返ると、断崖の草木や苔に覆われた柱状節理が逆光の中に輝いて見える。

岩陰の位置や光の加減で、色調や輝きが微妙に変化するのが面白い。

とうとう頭上彼方に槍飛橋が認められた。進入禁止のロープが張られているので、ボートも戻るしかない。

高千穂峡の遊覧ボートは、高千穂に行ったら必ず楽しみたいものの筆頭だが、連休やお盆の時期には早朝から大混雑なのが困る。早めに着いたつもりが、7時過ぎるとボート乗り場近くの駐車場が満杯で、遠くの駐車場から歩いて予約場所に行き、そこで整理券をもらうのに1時間以上並び、さらに1時間遊歩道周辺で時間を潰し、9時すぎにようやくボートに乗れたが、事前の対策が必要だとつくづく感じた。