半坪ビオトープの日記

高千穂峡、阿蘇神社、湯布院


翌朝は早く出かけて高千穂峡のボート遊覧を楽しむ。五ヶ瀬川にかかる高千穂峡は、国の名勝、天然記念物に指定されていて、五箇瀬川峡谷とも呼ばれる。阿蘇カルデラをつくった約12万年前と約9万年前の火山活動による火砕流堆積物が五ヶ瀬川の峡谷にも流れ下り、冷却固結し溶結凝灰岩となり柱状節理を生じた。五ヶ瀬川の侵食で再びV字峡谷となり、高さ100mにも達する断崖が約7km続き、総称して高千穂峡と呼ぶ。崖上から流れ落ちる滝は、真名井の滝と呼ばれる。

崖上は峡谷に沿って遊歩道が整備され、真名井の滝や仙人の屏風岩、槍飛橋などを見ながら散策できる。

ここは高千穂峡の三段橋。手前から神橋(昭和22年竣工、橋長31mのコンクリートアーチ橋)、高千穂大橋(S30、96mの上路式鋼2ヒンジアーチ桁橋)、神都高千穂大橋(H15、300mのPC連続箱桁橋+RC逆ランガーアーチ橋)となっている。

高千穂峡の後は阿蘇山に上って草千里ヶ浜を見て、阿蘇神社側に下るつもりだったが、まだ熊本地震後一年で、縦断道路が完全復旧していなかったので、阿蘇カルデラを東から北、さらに西へと大回りして、阿蘇大橋に近い西麓にある日本料理店「さか本」で熊本の郷土料理を食した。馬刺・馬佃煮・辛子蓮根・高菜飯・だご汁などのセットで、郷土料理を楽しく味わうことができた。ちなみに阿蘇大橋は、2020年度の竣工予定と、2017年4月に発表された。

2016年4月16日の地震で、国の重文である嘉永3年(1850)建立の大きな楼門が倒壊(全壊)するなど大きな被害が出た阿蘇神社は、完全復旧までに10年はかかるといわれている。拝殿や翼廊も倒壊して復旧工事というかシートで覆うなどの応急措置がされている。「一の神殿(天保1年-1840建立)」や「二の神殿(天保13年建立)」はゆがんだため部分解体修理の予定といわれるが、見た目にはなんとか難を逃れたようである。

阿蘇神社からやまなみハイウェイを通って湯布院へ向かう。城山展望所からは、阿蘇の広大なカルデラの田園風景と雄大阿蘇五山が眺められる。阿蘇は典型的な二重式火山で、外輪山は南北25km、東西18km、周囲128kmあり、面積380k㎡のカルデラを持つ世界最大級の火山である。30万年以上前に外輪山を形成した火山活動の後、27万年前から9万年前までに大規模な噴火が4回あってカルデラを形成し、その後の火山活動で阿蘇五岳が揃ったといわれる。左から山頂がギザギザの根子岳(1433m)、最も高く見える高岳(1592m)、そこから右の山並みに中岳(1506m)、烏帽子岳(1337m)、杵島岳(1326m)と続く。

10日ほど前の大分県中部の大雨による水害で、道路の多くが通行止になっていたが、危うく難を逃れたやまなみハイウェイを湯布院に向かって北上した。湯布院のどこからでも見えるという由布岳(1584m)は、東峰と西峰の2つのピークを持つ活火山で、独特の山容から豊後富士とも称される。古来より信仰の対象として崇められ、『古事記』や『豊後国風土記』にもその名が記されている。

湯布院町は温泉がある街で有名だったが、2005年に合併して由布市となった。町名とインターチェンジは「湯布院」であるが、駅名と温泉名は「由布院」でありややこしい。そのため「ゆふいん麦酒館」などひらがな表記も多い。「ゆふいんビール」は、平成6年に九州で第一号となる地ビール会社の製品で、緑の山並みから集まる豊かな水を生かした生ビールだけで出発したが、今では瓶ビールも販売されるようになった。駅から湯の坪街道を散策する醍醐味が人気の街歩きの道中でも、生ビールは一番人気である。

湯布院の名所・金鱗湖に着く手前にある「角打屋」は、湯布院の地酒「由布美人」を試飲した後、敷地内の角打場でグイッと飲めるので評判だ。おまけに好きな漬物も選べる。もちろん地ビールもOKなので、ついつい飲みすぎ、金鱗湖を見に行く時間がなくなった。

泊まった宿には「ゆふいん麦酒館」が併設されていて、数々の地ビールや資料、道具類も展示されていた。朝食時と昼食時にビュッフェで利用できるというが、時間が合わなかった。

翌朝、玄関脇で大きなクワガタを見つけた。頭部の冠状の耳状突起と体表の細かい金褐色毛により、ミヤマクワガタ(Lucanus maculifemoratus)とわかる。日本全国の深山に分布するが、子供時代以来久しぶりの雄姿にワクワクした。もちろん触って力強さを確かめてみた。