半坪ビオトープの日記

足摺岬


ようやく足摺岬に近づいたが、ここでも混雑のため交通規制で足止めされたので、翌朝、近くに宿から規制前に再訪した。岬の駐車場前に立っているのは、ジョン万次郎(中浜万次郎)の銅像である。万次郎は足摺半島西岸の中浜の漁師であったが、日本人として初めてアメリカ本土に足を踏み入れ、幕末の政局に大きな役割を果たしたことで知られる。

銅像の脇から岬に向かう道を左(東)に進むと展望台があり、右前方(南)の断崖の上に灯台が見える。足摺岬は四国の最南端にあり、高さ80mに及ぶ断崖が続き、紺碧の黒潮と亜熱帯の原生林の緑とが相まって独特な景観を作り出している。

椿のトンネルの自然遊歩道を進むと、だんだん灯台が近づいてくる。翻って左後方を眺めると、展望台の彼方に天狗の鼻と呼ばれる断崖が見える。断崖の上にも遊歩道が認められる。
足摺岬一帯は、ヤブツバキをはじめタブノキ、ウバメガシなどが茂り、断崖とは対照的に穏やかな風景を見せる。一帯のヤブツバキは15万本も茂り、早春には見事に咲き誇るという。

やや視界が開けたところでは、シャリンバイ(車輪梅、Rhaphiolepis umbellata)の花が満開に咲いていた。西日本の海岸に自生する常緑低木で、高さは1〜4mになる。和名の由来は、花が梅に似て、葉が枝先に車輪状に集まることによる。樹皮は、奄美大島特産の大島紬や沖縄の芭蕉布の染料として利用される。

遊歩道沿いには足摺の七不思議という見所が次々と現れる。ここは地獄の穴という。この穴は灯台下の洞窟(亀の洞)まで通じていて、この穴に硬貨を投げ入れるとチリーン・チリーンとしばらく音が聞こえるという。

ここも七不思議の一つで、一夜建立ならずの華表(とりい)という。大師が一夜で鳥居を立てようとしたが、天邪鬼が鶏の鳴き声を真似したので、夜が明けたと思い諦めたところ。鳥居を立てるための石の土台や石柱が数本転がっている。

ようやく白亜の足摺岬灯台にたどり着く。大正3年(1914)に初点灯され、昭和35年(1960)にロケット型のデザイン灯台に改築された。高さ18m、光度200万カンデラ光達距離38km。日本最大級の灯台の一つである。

灯台の裏手の展望台は、亀呼び場と呼ばれる。大師はここから亀を呼び、それに乗って前の岩に渡り波切不動を刻んで修行をしたという。ここから「亀さーん」と大声で呼ぶと、海亀がすぐ下の海から顔を出すという七不思議の一つ、との能書きを読んでいると、突然、「亀がいるー」の声がする。急いで海を見下ろすと、実際に亀が悠々と泳いでいる姿を認めて驚いた。

この大きな岩は亀石という。甲羅が大きすぎて右前方の顔がよく見えず、残念ながら亀とは判定し難い。