半坪ビオトープの日記

美女平へ


弥陀ヶ原(1,930m)からアルペンルートの高原バスに乗って美女平(977m)に向う。すっかり霧が晴れた窓外には、ゼンテイカの黄色い花が目立つ。

こちらのギボウシは、トウギボウシ(Hosta sieboldiana)であろう。本州日本海側の山地に生える多年草で、花茎の高さは40~60cmになる。日本各地の山地に生えるオオバギボウシ(Hosta montana)とほとんど見分けがつかないが、花茎がやや短いのでトウギボウシとしておく。

バスがどんどん高度を下げていくにつれて、周りの樹木が高くなる。「滝見台(1,280m)」バス停近くでバスは速度を落とし、「称名滝」を見せてくれる。4段構成で、落差が350mあり、日本で一番大きな滝という。国指定の名勝および天然記念物であり、日本の滝百選に選ばれている。名勝は法然が滝の轟音を南無阿弥陀仏という称名念仏の声と聞いたことに由来すると伝えられている。雪解け時など流量が多いと右に「ハンノキ滝(497m)」が現れるというが、今回も雨が続いた所為で右に細い「ハンノキ滝」を見ることができた。

滝見台脇には立山参道の西国三十三番札所の第二十一番石仏がある。祠の中には右に薬師如来地蔵、左に聖観世音菩薩が安置されている。文化8年に尾州城内有志、高岡二塚屋仁平、富山川端町連中が建てたそうだ。

滝見台の辺りは立山杉の大木やブナやトチなどの原生林が広がっている。
大きな木に這い上って白い花を咲かせているのは、ツルアジサイHydrangea petiolaris)かあるいはイワガラミ(Schizophragma hydrangeoides)のどちらかだろうが、遠目では何とも判定できない。

美女平駅に着くと、今度はケーブルカーに乗り換えて立山駅に下る。標高差約500mを7分で下る。

平均勾配24度の坂をツルベ方式で2台の車両が昇降し、途中2ヶ所のトンネルと材木石の露頭を見ることができる。材木石とは、柱状節理によって立山火山溶岩が柱の形に割れ、それが立ち並ぶ様を材木に例えたものである。

立山ケーブルカーの特色として貨車がある。客車の麓側に貨車が連結され、屋根のない荷台がついている。その貨車で大きな荷物をたくさん運んでいるという。貨車の前にぽつんと小さな運転室が設けられているのが面白い。