神善寺のすぐ南の本郷地区に真言宗の宝蔵院がある。珍しく茅葺の山門の外に仁王像が露天で立っている。正式には、真言宗智山派の嶋崎山寳蔵院という。
本堂も今時珍しく茅葺である。天正2年(1574)弘恵の開基と伝えられているが、そのほかの詳細は不明である。
本堂手前左手に真新しい観音像が立っている。灯籠の台座も何やら風変わりである。
本堂脇には、県内では珍しいソテツの大木がある。
屋根が茅葺にしては、本堂の中はこぎれいである。
本堂裏の駐車場東側、道を隔てて境内飛び地の鎮守の森がある。
鎮守の森の中には、大木の手前に小さな石祠がいくつか祀られている。
大木の裏には角柱のような石が、少し斜めに傾いて立っている。これは中世船舶の碇石で、碇とする為に石を挟んだ枠による摩耗の跡が見られる。伝えるところでは、南北朝時代に南朝方の武将、篠塚伊賀守の乗った船が難破漂着し、上陸する際に船の碇石を記念に据え置いたものだという。
推定では全長247cm前後、東日本で唯一の中世の碇石である。
そのずっと奥にも何やら由来不明の石柱が見られた。