半坪ビオトープの日記

神善寺


利根川の北側、左岸を河口の波崎に向って南下すると、波崎の舎利地区に真言宗の益田山相応院神善寺がある。

山門をくぐって境内に入ると、すぐ左手に巨大な大タブの木が蛸入道のように太い枝を広げている。

波崎の大タブは、樹高15m、幹囲8.1m、推定樹齢1000年で、県の天然記念物に指定されており、「新日本名木百選」にも選ばれている。タブの木は、別名をイヌグスという常緑高木で、革のように固い長楕円形の葉には羽状脈という模様があり、春に円錐形で薄い黄緑色の花を数多く咲かせる。

江戸時代に起きた大火でも、大タブの木のおかげで難を逃れたということから別名「火伏せの木」とも呼ばれる。
大タブの木の向こうには釈迦堂が見え、大きな瘤を抱えた木の根元には、60体余りの石仏が並んでいる。

よく見ると、幹を背にしてお参りに来る人を向いているのが普通だが、ここではすべての石仏が木に向って拝んでいる。

真言宗では珍しい釈迦堂は、江戸時代中期の建築とされる。ここには、鎌倉時代作と推定されている檜の寄木造で、像長166cmの木造釈迦涅槃像が祀られているというが、残念ながら崩れそうな古びた堂内には見当たらなかった。

神善寺は、天喜4年(1056)高野山から来た貞祐上人の開基と伝えられている。境内正面にはコンクリート造の本堂が建っている。

本堂の前には三つ穴灯籠が立っている。関東にしか存在しないといわれるが、関東では三つ穴灯籠もそれほど珍しい物ではないようだ。

本尊は、室町時代作とされる木造大日如来坐像であり、像高60cm、檜の寄木造で、台座と厨子には「竜ヶ崎法橋寛長」および「元和八年(1622)」の銘があるという。

境内には、ほかにも鎮霊碑などの石碑がいくつか建てられている。