半坪ビオトープの日記


6時の朝食後、マイクロバスで鳩待峠に行く。尾瀬へ入山する人の約半数が鳩待峠から入るといわれるだけあって、6月下旬とミズバショウの時期が過ぎても、すでに出発準備している人がたくさんいる。人気がある沼山峠口と鳩待峠口では交通規制が行われていて、乗合バスかタクシーしか通行できない。

峠の標高は1591m。尾瀬ケ原が約1400mだから、とりあえず山の鼻までほぼ200m下ることになる。入山口には緑のマットが敷いてあって、植物の種子を尾瀬ケ原に持ち込まないよう靴底をこすることになっている。

最初は段差のある石畳の山道を下り、やがて整備された木道を歩くようになる。道の両脇にはユキザサ(Smilacina japonica)がたくさん花を咲かせている。日本各地の山地の林の中に生える多年草で、5〜7月に円錐花序に小さな花を咲かせる。白い花を雪に、葉をササにたとえて名が付けられている。

こちらは針葉樹林の下草としてよく見かけるマイヅルソウ(Maianthemum dilatatum)である。日本各地の山地に生える多年草で、葉脈の曲がった様子が、鶴が羽を広げたように見えるところから舞鶴草の名がある。5〜7月に花が咲き、液果は球形で赤く熟す。

フキのように大きな葉に盛りを過ぎた白い花を咲かせているのは、サンカヨウ(Diphylleia grayi)という。中部以北の本州と大山、北海道の山地から亜高山帯に生える多年草で、50cmほどの茎に径20cmほどの葉を広げ、径2cmほどの白い花を10個ほどまとめて咲かす。実は黒紫色に熟し食べられる。

こちらのこじんまりした常緑低木は、ミヤマシキミの変種のツルシキミ(Skimmia japonica var. intermedia f. repens)と思われる。関東以西に自生するミヤマシキミに対して、ツルシキミは主に日本海側の多雪地の林床に自生し、茎の下部が地を這う。どちらも雌雄異株の有毒植物だが、葉はツルシキミの方が小さい。

赤紫色の花が盛りを過ぎようとしているツツジは、ムラサキヤシオ(Rhododen)という。関西以北の本州、北海道の山地に自生し、高さは3mほどになり、よく分枝する。
花が咲いてから葉が出るが、開き切っていないのが特徴である。名前の由来は、紫色の染料で八回も染めたような濃い紫色だとされる。