半坪ビオトープの日記


ようやく赤田代分岐に着いた。左が三条の滝、右がこれから向かう見晴十字路で、尾瀬ケ原周遊の折り返し点である。花の写真を撮りながらだが、鳩待峠から3時間10分歩いたことになる。

尾瀬ケ原ではいくつものスミレが咲いていたが、最もよく見かけたのはこのオオバタチツボスミレ(Vila kamtschadalorum)である。オオタチツボスミレ(V. kusanoana)と名前がよく似ているが、そちらは森林内に生える大型のタチツボスミレであって唇弁の中や踞が白く、こちらのオオバは湿原に生えていて、唇弁も紫色で花弁全体に濃紫色の筋が入っているので見分けられる。唇弁の先が平らでニョイスミレに近縁であることをうかがわせる。

茎葉に柄がないように見えたので、この花こそニリンソウかと思ったが、花が咲いている茎葉を見るとやはり柄があるので、これもサンリンソウである。

ハクサンチドリの廻りに咲いている黄色に輝く花は、ミヤマキンポウゲ(Ranunculus acris var. nipponicus)という。中部地方以北と北海道の亜高山帯から高山帯の草地や岩礫地に生える多年草で雪田周辺に群生することが多い。

コイワカガミの咲くところに一緒になって咲いている白い花は、チングルマ(Sieversia pentapetala)である。中部地方以北と北海道の高山帯の雪田周辺や草地に群生する落葉小低木で、高さは10cmほどである。葉は奇数羽状複葉で小葉は厚くて光沢がある。花後、花柱は3cmほどに伸びて羽毛状になり、風になびく姿が風情がある。花の盛りを過ぎて花柱が伸び出したものもあるが、まだ風になびくほど伸び切っていない。チングルマの和名は、放射状の羽毛の形を子どもの風車に見立て、稚児車から転じたといわれる。

赤田代から見晴十字路に向かうと右手に至仏山が見えてくる。大草原のような湿原に時々現れる木立と背後の至仏山雄大なパノラマを提供してくれる。朱色のレンゲツツジも紅一点といったところか。