半坪ビオトープの日記

乗鞍高原、牛留池


ようやく牛留池が見え隠れしてくる頃、遊歩道の脇に面白い格好をした根曲がり松が姿を見せた。一回転して輪を描いている。

牛留池は、乗鞍高原を代表する池で、標高1580mにある。乗鞍岳が噴火してできた溶岩台地の窪地にあり、晴れていれば乗鞍岳が水面に美しく逆さまに映って幻想的な光景を見せる。

水辺にはミツガシワやミズバショウが群生し、ルリイトトンボなどの高山トンボや、サンショウウオモリアオガエルなどが生息し、いろいろな鳥のさえずりが聞こえる。

遊歩道の脇に大きく育ったミズバショウが葉を広げている。

国民休暇村の駐車場も5分程の近くにある。放射状の白い花が特徴的なこの花は、カラマツソウ(Thalictrum aquilegiifolium)である。北海道〜本州の山地から高山帯の草地に自生する多年草で、日本固有種である。高さは50~150cm。花弁はなく、白い花は雄しべの集まりである。
周りの薄クリーム色の花は、タデ科のイタドリ(Fallopia japonica)である。日本全土の山野に生える雌雄異株の多年草で、高さは1m以上になる。若い茎は山菜として食べられるが、旺盛な繁殖力から世界の侵略的外来種ワースト100種の一つとして、とりわけイギリスで嫌われている。

草原の中に生えたこの風変わりな植物は、ハマウツボ科のオニク(Boschniakia rossica)が花期を過ぎて果実を持った姿と思っていたが、どうやら違うようだ。寄生植物のハマウツボ科のヤマウツボ(Lathraea japonica)あるいはキヨスミウツボ(Phacellanthus tubiflorus)のどちらかと思われる。ネットでいろいろ調べたところ、約1cmの卵形の果実の様子はキヨスミウツボとそっくりであり、茎が群がって生えるところもキヨスミウツボの特徴である。ただ、キヨスミウツボの高さは5~10cmで、茎がこのようにすっきり伸びた姿が見当たらない。花の写真が多いためで、花後に伸びたものと思われる。ともかく、卵形の果実の様子と茎が群がる様子から、キヨスミウツボとする。日本全国の山地の木陰に生える寄生植物で、アジサイ類、カシ類の根に寄生する。普通白色だが、淡黄色を帯びるものもある。花期は5〜7月で、花も萼も枯れて褐色となっている。

こちらのアサギマダラ(Parantica sita)が吸蜜している花は、ヨツバヒヨドリ(Eupatorium ehinense var. sachalinense)である。日本全土に広く分布するヒヨドリバナの変種で、四国・本州中部地方以北・北海道の高原の草地に生える多年草。高さは1mほどになる。葉は普通4枚輪生するが、3〜5枚と変化が多い。淡赤紫色から白色の花の様子は、ヒヨドリバナのほかフジバカマともよく似ているが、葉の付き方で区別する。

オミナエシに似た白い花は、オトコエシ(Patrinia villosa)である。日本全土の山野に普通に生える多年草で、女郎花より強健に見えるので男郎花の名がある。葉は卵形か羽状に切れ込み鋸歯がある。高さは1mほどになる。花期は8〜10月で、女郎花と同じく季語は秋である。

こちらの赤紫色の花は、ヤマホタルブクロ(Campanula punctate var. hondoensis)である。日本全国に分布するホタルブクロに似るが、萼片の間に反り返る付属片がなく、ふくらみがある。近畿地方以北〜東北地方南部、とりわけ中部山岳地帯の山野に多く自生する。