半坪ビオトープの日記

無事下山


帰り道でもミヤマリンドウをよく見かけた。リンドウ科には世界に約70属1150種以上もあり、日本には12属38種がある。このうちリンドウ属には、比較的大型のリンドウ、エゾリンドウ、エゾオヤマリンドウや小型のミヤマリンドウ、フデリンドウタテヤマリンドウなど14種類が知られている。小型のリンドウの中では、このミヤマリンドウが見栄えがする。

こちらの草原ではエゾオヤマリンドウが群生していた。北海道と本州中部地方以北に分布するエゾリンドウの高山型変種である。エゾリンドウは葉腋にも花がつくが、本種では茎先だけにつくので区別できる。

こちらのセリ科の花は、ハクサンボウフウ(Peucedanum multivittatum)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地に生える多年草で、高さは30~50cmになり、上部で枝分かれする。葉は1〜2回3出羽状複葉または単羽状になる。小葉は披針形から卵形で、縁に粗い鋸歯があり、不規則に浅裂し、形に変化が多い。花期は7〜9月。茎頂か分枝した先端に複散形花序をつけ、10~10数個の小花序をつける。花は径2~3mmの白色の5弁花である。中部地方以北の高山で最もよく見られる花といえるが、この花はその中でも大振りである。

片倉岳展望台を越えて、バス道路が見下ろせるところまで下ってきた。またもやエゾニュウの群生である。エゾニュウは、主に茎の部分を山菜として利用する。非常にアクが強いため、いったん塩蔵してから塩抜きして食用とする。秋田県などでは「ニョウサク」「ミョウサク」などと呼ばれ、特に好まれる。

すっかり盛りを過ぎてしまった、イワオトギリ(Hypericum kamtschaticum var. hondoense)も見かけた。本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地や砂礫地に生える多年草で、高さは10~30cmになる。葉は楕円形をしており、全体に黒点が散らばる。花期は7〜8月。茎先に黄色い5弁花を咲かせる。

こちらのまだつぼみの花は、サラシナショウマ(Cimicifuga simprex)である。日本各地の落葉樹林内や草原などに生える多年草で、高さは40~150cmになる。葉は2〜3回3出複葉で、互生する。花期は8〜9月。茎先に長い総状花序を出し、白い小花を多数つける。和名のサラシナは、若菜を茹でて水に晒し、山菜として食したことに由来する。

こちらのアジサイは、エゾアジサイHydrangea serrate var. megacarpa)である。北海道と本州の日本海側の多雪地帯の深山の沢沿い、薄暗いやや湿った場所に生える落葉低木で、高さは1〜2mになる。葉は対生し葉柄があり、形は先の尖った楕円形で、縁に粗い鋸歯がある。花期は6〜8月。淡青色の小さな両性花の周りに花弁4枚の装飾花をつける。

黄色いハナニガナの近くで、よく似たシロバナニガナ(Ixeris dentate var. albiflora)を見かけた。日本各地の山野や亜高山の林縁や草地に生える多年草で、高さは20~40cmになる。ハナニガナと同じくニガナの変種で、舌状花は8〜11枚あり、ニガナより多い。

まもなく無事下山できた。シャトルバスの出発地に戻り秋田駒ヶ岳を眺めると、朝の薄曇りよりは青空に大きな雲が流れていく様子が見えた。
明日からまた雨という天候不順の中、なんとか3日連続で、足早に八甲田山岩木山秋田駒ヶ岳の三山を見て回れてよかった。移動もあって時間が少なくかなり省略したが、最盛期を過ぎた8月半ばでは花が少ないのは覚悟していた。それでも秋田駒ヶ岳のお花畑は、天然記念物に指定されるだけの規模を持つことがわかったので、いつかもう一度、花の最盛期に訪れたいと思う。