半坪ビオトープの日記

男岳山頂


女岳手前のいわゆるムーミン谷の先には、小岳(1409m)がある。一番新しい噴火口の女岳の前に、約2000年前頃に小岳が噴火活動を盛んに行っていたと考えられている。小岳の左手前にある小さな池は、駒池(1350m)という。小岳の左上の大規模な砂礫地は、大焼砂といい、コマクサやイワブクロの群生地として知られている。

大焼砂を左に上り詰めると横岳(1583m)にたどり着く。阿弥陀池の向こうに見える赤茶けた丸いコブは、焼森(1551m)といい、池に下りずに湯森山、笊森山、乳頭山へと縦走するコースもある。

シロバナトウウチソウが咲く尾根の右手(北)に見える最高峰の男女岳(1637m)には、1等三角点が設置されている。その右手遠くには、岩手山(2038m)が霞みながらも見える。

簡単に登れそうに思われた男岳だが、山頂はまだ先にあった。

尾根筋には青紫色のミヤマリンドウやセリ科の白いシラネニンジン(Tilingia ajanensis)が咲いていた。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地や岩隙などに生える多年草で、高さは10~40cmになる。葉は2〜3回羽状複葉になり、小葉は不揃いに分裂する。3出複葉にはならず、終裂片は広卵形でニンジンの葉に似る。花期は7〜9月。茎頂か分枝した先端に複散形花序をだし、白い小花を多数咲かせる。

とてもよく目立つ鮮やかな紫色の花は、シソ科のタテヤマウツボグサ(Prunella prunelliformis)である。本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯のやや湿った草地に生える多年草で、高さは20~50cmになる。葉は対生し、狭卵形から広卵形で、先は尖り基部は丸い。葉柄はないか、あってもごく短い。花期は7〜8月。茎先に短い花穂をつくり、紫色の唇形花を数段に密集して輪生する。

こちらの地味なヨモギは、ヒトツバヨモギ(Artemisia monophylla)である。本州の日本海側の亜高山帯〜高山帯の草原、尾根筋、林縁などに生える日本特産の多年草で、高さは70~100cmになる。葉は短い柄をもって互生し、葉身は長楕円状披針形で、葉の縁に鋭い鋸歯があり、先端は尖り、葉裏は白い。花期は8〜10月。頭花は花茎の先や上部の葉腋に多数つき下向きに咲く。ヨモギ属の葉は細かく切れ込むものが多いが、本種は分裂しないので、ヒトツバヨモギ(一葉蓬)という。

ようやく男岳山頂にたどり着いた。男岳(駒形山)は信仰の山で、山頂には駒形神社が祀られ、昔から「嶽参り」という登拝が行われていた。

現在の「中生保内コース」が旧来の信仰登山のルートで、中生保内の麓から登り始め、南部カルデラ外輪山の南西端にあたる御坪平横長根分岐点から長い金十郎尾根を経て、五百羅漢の岩場を上り詰めると男岳に至る。秋田駒ヶ岳の山名に男女をあてているのは男神・女神の信仰からきていると考えられている。