阿弥陀池は北側に最高峰の男女岳、南西側に男岳、南東側に横岳という3つのピークに囲まれている。男岳と横岳はカルデラの外輪山であり、男女岳は最高峰でありながら、カルデラの外側に位置している。阿弥陀池も同様にカルデラの外側にある。カルデラの外側にも池を形成するような大きな窪地があるわけで、秋田駒ケ岳山頂部の地形は非常に複雑である。阿弥陀池の周りにもお花畑が広がっている。東にある阿弥陀池避難小屋を正面にして、右側に横岳、左側に男女岳がある。今年は阿弥陀池の水がかなり少なく感じる。
左手(北)の男女岳(1637m)が最高峰でありながら、カルデラの外側に位置しているという。調べたところ、秋田駒ケ岳は玄武岩〜安山岩の二層式成層火山で、山頂部北東側の北部カルデラと南西側の南部カルデラが相接しており、カルデラ形成期の火砕流・降下火砕物が山麓や火山東方に分布する。北部カルデラは最高峰の男女岳などの火砕丘や溶岩にほとんど埋積されており、男女岳北東側には爆裂火口があり、8号目からすぐの崩壊地がそれにあたる。男岳は両カルデラの接合部西縁上の峰。南部カルデラには女岳・小岳・南岳の火口丘があり、溶岩流がカルデラ底を覆い、カルデラ南西方から溶岩が西方へ流下している。しかし、細かい地図を見ないとわかりづらい。男女岳の中腹まで、チングルマを中心としたお花畑が広がっている。
こちらのエーデルワイスによく似たウスユキソウは、ミヤマウスユキソウ(Leontopodium fauriei)という多年草。秋田駒ケ岳、鳥海山、月山、飯豊山、朝日連峰など東北地方の日本海側の高山に分布し、山頂付近の乾いた風衝草原に生育する。
こちらの黄色い花は、キジムシロ属のミヤマキンバイ(Potentilla matsumurae)という多年草。北海道と本州中部以北の高山帯の砂礫地、草地、雪田の周辺などに生える。葉は3出複葉、花は2〜7個つき、鮮黄色で直径約2cm。花弁は5個あり、広倒卵形で先が僅かに凹む。花弁の元が橙色を帯びる花もある。
こちらの赤い花は、キイチゴ属のベニバナイチゴという落葉低木。北海道西南部と本州中部以北の日本海側の亜高山帯〜高山帯の林縁や渓流沿いに生える。よく分枝し高さ約1mになり、全体に棘がない。葉は3出複葉、縁には重鋸歯がある。花期は6〜7月。枝先に濃紅色の5弁花を1個つけ、下向きに咲く。秋に熟す実は大粒で食べられるが、それほど美味しくはないといわれる。
こちらの白い花は、お馴染みのナナカマド(Sorbus commixta)という落葉高木。北海道〜九州の冷温帯の山地帯の上部および亜高山帯の隣地に自生する。高地では小低木となることが多い。葉は奇数羽状複葉で、小葉は4〜7対向かい合ってつく。縁には浅く鋭い鋸歯がある。花期は5〜7月。枝先に散房花序を出し、白い花を多数つける。花弁は5個。秋に鮮やかに紅葉し、赤い実を熟す。果実は果実酒にも利用される。
こちらの小さな花は、コケモモ(Vaccinium vitis-idaea var. minus)という常緑小低木。北海道と本州中部以北、四国の亜高山帯上部〜高山帯の林縁、草地、岩礫地などに生える。茎の高さは5〜15cmになり、よく分枝する。葉は革質で互生し、ほぼ楕円形で光沢がある。縁は全縁。花はやや赤みを帯びた白色で枝先に3〜8個が下向きに咲く。花冠は鐘型で浅く4裂する。液果は赤く熟し、甘酸っぱい。生食したり、果実酒やジャムにする。
こちらの白い花は、イワテハタザオ(Arabis serrata var.japonica f.fauriei)という多年草。岩手山と秋田駒ケ岳の砂礫地や岩場に自生する、フジハタザオの地域変種で、花や果実が小さく、花弁は8mm、花柱は2mm。フジハタザオの変種は多く、判別は難しい。
これは上りでも見かけたハクサンチドリ。いつ見ても、鮮やかな色、複雑な花弁の形、溌剌とした動きを感じさせる全体像、それらが絡み合って高山植物への愛着を呼び起こす不思議な花である。
こちらの風変わりな花は、ショウジョウバカマ(Heloniopsis orientalis)という常緑多年草。北海道〜九州の山地帯〜高山帯のやや湿った草地に生育する。根生葉はロゼット状につき、やや厚くて光沢があり、倒披針形〜狭長楕円形で先は尖る。10〜25cmの花茎の先に、2〜6個の花を横向きにつける。花被片は6個で、淡紅紫色から濃紅色まで変化が多い。
こちらの可愛いイチゴは、ノウゴウイチゴ(Fragaria iinumae)という多年草。北海道と本州の大山以北の日本海側の亜高山帯〜高山帯の林縁や湿り気のある草地に生える。葉は3出複葉で根生する。同じオランダイチゴ属のシロバナノヘビイチゴと姿はそっくりだが、花弁の数がこちらは7〜8個なのに対し、シロバナノヘビイチゴは5個なので見分けられる。
鮮やかな緑色の大きな葉の間から白い花を咲かせているのは、サンカヨウ(Diphylleia cymosa ssp.grayi)という多年草。北海道と本州中部以北、大山の山地帯〜亜高山帯の林縁や林内や草原に生える。高さは30〜60cmで、茎や葉に縮毛がある。葉は2個付き、下の葉は長さ10〜30cm、幅12〜35cmの腎円形で粗い鋸歯がある。上の葉は小さくほとんど無柄。花は直径2cm。萼片12個のうち外側の6個は緑色で開花すると落ちる。内側の6個は白色で花弁状。液果は秋に黒紫色に熟し、白粉をかぶる。食べることもできる。
こちらの釣鐘型の花は、ヨウラクツツジ属のガクウラジロヨウラク(Menziesia multiflora var.longicalyx)という落葉低木。北海道〜本州中部地方以北の山地帯〜亜高山帯のやや湿った林内や草原に生える。高さは30〜100cm。葉の裏面は帯白色。花は淡紅紫色で垂れ下がって咲く。主に太平洋側に多く分布するウラジロヨウラクの、萼の長い変種で、主に日本海側に分布する。