かなり八丁坂を下ってきて、千畳敷カールを一周する遊歩道もよく見えるようになった。
この白い花は、モミジカラマツ属のモミジカラマツ(Trautvetteria caroliniensis)という宿根性多年草。北海道および中部以北の高山帯の湿り気のある場所に生える。高く伸びた花茎の先に散房花序の花を多数つける。花弁はなく、目立つのは白い雄しべである。近縁種のカラマツソウによく似るが、葉の形がモミジ様になるので区別できる。
こちらの濃紅紫色の花は、フウロソウ属のタカネグンナイフウロ(Geranium eriostemon var. reinii f.onoei)という多年草。本州中部地方の亜高山帯から高山帯の明るい草地に生育する、日本固有種。和名は山梨県の郡内地方に由来する。葉は掌状に深く5−7裂し、裂片がさらに3出状に浅く裂け、縁には鋸歯がある。
乗越浄土でも見かけたアオノツガザクラにまた出会った。ロシア、アラスカ、カナダにも分布する。葉は互生し、広線形で密につく。茎頂に長い花柄を直立し、花を4〜7個つける。花は約7mmの淡黄緑色の壺型。先が浅く5裂し、やや下向きに開花する。
こちらの赤紫色の花は、シオガマギク属のヨツバシオガマ(Pedicularis japonica)という多年草。日本固有種で、北海道と中部以北の亜高山帯から高山帯の広葉草原や湿地帯に生える。シダの様な葉が普通4個茎の節ごとに輪生する。花は普通4個ずつ数段になり輪生する。花冠は唇形。上唇は中程で曲がりくちばし状に尖る。下唇は深く3裂する。
この白い花は、タデ科イブキトラノオ属のムカゴトラノオ(Bistorta vivipara)。北海道と中部以北の亜高山帯から高山帯の草地や岩礫地に生える多年草。茎は根出葉の間から直立し、枝を分けず茎先に穂状花序をつける。花に花弁はなく、萼が花冠状に深く5裂する。花穂の下部につく珠芽(むかご)が穂軸から落ちて繁殖する。
こちらの黄白色の花は、シオガマギク属のエゾシオガマ(Pedicularis yezoensis)という日本固有種。北海道と中部以北の亜高山帯から高山帯の草地に生える多年草。葉は互生し、三角状披針形。葉の先は尖り、基部は切型、縁には重鋸歯がある。花冠は唇形。上唇は細長く、下唇は浅く3裂する。
こちらの白い花は、バラ科ヤマブキショウマ属のヤマブキショウマ(Aruncus dioicus var. kamtschaticus)。北海道、本州、四国、九州の山地帯から高山帯の林縁、草地、岩場などに生育する雌雄異株の多年草。葉は2回3出複葉で、小葉は卵円形で先は尾状に細長く尖り、縁に鋸歯がある。ユキノシタ科のトリアシショウマとよく似るが、本種は葉の側脈が明瞭で、斜めに並行して10数本あり、葉縁までとどく。
この黄色の花は、乗越浄土近くでも見かけたウサギギクである。葉は対生し、2〜3対つき、無柄で、下部の葉はさじ形、上部の葉は鋸歯がはっきり見えてウサギの耳にはそれほど似ていない。