半坪ビオトープの日記

霧雨のお花畑


お花畑を南に突っ切って、乗鞍岳の主峰・剣ケ峰に向かう登山道があるのだが、霧雨と防風のために登山禁止のロープが張られている。お花畑だけでは、どうも花の種類が少ないが致し方ない。このお花畑で一番多く見かけるのは、やはりミヤマキンポウゲハクサンイチゲである。

こちらのヤナギは、ミヤマヤナギ(Salix reinii)である。北海道と本州中部地方以北の高山や深山の岩礫地などに生える落葉低木で、高さはふつう20~100cmほどだが、高山では地に伏し、深山では5mになるものもある。5〜6月に葉の展開と同時に開花する。雌雄異株。花後、綿毛を出して種を包む。

雨に濡れて花びらが閉じてしまっているが、この花はミヤマアカバナ(Epilobium hornemannii var. foucaudianum)である。北海道と本州中部地方以北の高山帯の草地や林縁、渓流の近くなどに生える多年草で、高さは5~20cmになる。葉は対生し、披針形〜長楕円形。花弁は淡紅紫色で長さ約4mm。花柱はこん棒状である。

こちらのセリ科の花は、ハクサンボウフウ(Peucedanum multivittatum)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地に生える多年草で、高さは30~90cmになる。葉は1〜2回3出羽状複葉または単羽状になる。小葉は広卵形で不規則に浅裂し、形に変化が多い。茎頂に複散形花序をつけ、10~10数個の小花序をつける。花は径2~3mmの白色の5弁花である。この花もお花畑ではよく見かける。

この鳥のくちばし状をした風変わりな花は、ヨツバシオガマ(Pedicularis japonica)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地に生える多年草で、高さは20~50cmになる。葉は羽状に深裂し、裂片もさらに裂ける。葉はふつう4枚ずつ数段に輪生する。茎先に総状花序を出し、紅紫色の花を4つずつ数段に輪生させる。この花もお花畑の常連である。

この小さな花は、イワツメクサ(Stellaria nipponica)である。本州中部地方の高山の礫地に特産する多年草で、高さは5~20cmになる。葉は細長く3cmほど。白い花は、径15mmほどの5弁花だが、深い切れ込みが入るので花弁が10枚あるように見える。

こちらのセリ科の花は、ミヤマゼンコ(Ceolopleurum multisectum)である。本州中部地方の亜高山帯〜高山帯の草地に特産する多年草で、高さは30~60cmになる。葉は2〜5回3出複葉で羽状に裂け、小葉は卵形で鋸歯がある。茎先に複数の散形花序を組み合わせて出し、白い小さな5弁花を密につける。前胡とは、解熱や鎮痛の薬効がある中国の薬草のことである。

バスターミナルの近くで、ウサギギク(Arnica unalascensis var. tschonoskyi)を見つけた。北海道と本州中部地方以北の高山の草地に生える多年草で、高さは20~30cmになる。葉は対生でへら形なので、ウサギの耳にたとえられた。直立する茎先に径4cmほどの頭花を1個つける。乗鞍岳の登山道脇には大きな群落がある。今回は、残念ながら天候が悪く、霧雨の中の花を見るだけだった。