半坪ビオトープの日記

松本へ


前日割安にしてくれたタクシーをチャーターして、畳平から松本市内まで直行する。するとすぐ道路脇に、コマクサ(Dicentra peregrina)が咲いていた。北海道と本州中部地方以北の高山の砂礫地に生える多年草で、高さは5~15cmになる。葉は細かくパセリのように裂け、白く粉を帯びる。茎先に淡紅色の花を咲かせる。花弁は4個で、外側の2個は下部が大きく膨らみ、先が反り返る。ほかにもイワツメクサ、オンタデ、ヨツバシオガマの花も見える。高山植物の見納めである。

数分下った肩の小屋のバス停辺りで、雪渓の先端が見えた。夏スキーができることで有名な乗鞍大雪渓は、8月上旬でもかなり分厚かった。

一昨日歩いた乗鞍高原に近づくと、ヤナギランの群落に出会った。

梓川をせき止めた奈川渡ダムは、高さ155mのアーチ式コンクリートダムで、東京電力により1969年に造られた。

ダム湖の名前は、梓湖という。梓川は古くから農業用水としても利用されていたが、減水期にはしばしば水不足となった。総貯水容量が1億2300万立方メートルある梓湖は、長野県最大の湖である諏訪湖の2杯分の水が貯えられ、発電だけでなく農業用水としても利用されている。奈川渡ダム天端は国道で、松本から右岸を走って来た道路は、天端道路で左岸に渡り上高地乗鞍高原に向かう。ここまで下ると乗鞍の霧雨が嘘のように、青空のもと太陽がことのほかまぶしい。

予定より早く松本市内に戻ったので、日帰り温泉・湯の華銭湯瑞祥にて、様々な露天風呂を楽しむことにした。

松本駅前には、播隆上人の銅像が立っている。播隆とは、天明に生まれ、文化文政から天保にかけて、江戸時代後半の浄土宗の僧で、槍ヶ岳の開山、笠ヶ岳の再興者として知られる。
これで、8月上旬の乗鞍・上高地の散策を終えた。2日目、3日目と予備日も設けて臨んだが、遠くの台風の影響で悪天候となり、乗鞍岳への登山ができず残念だった。今度は晴れた時に訪れたい。