6月下旬、八幡平、秋田駒などを大急ぎで散策した。盛岡では快晴だったが、八幡平アスピーテラインを走る頃には雲が湧いてきた。岩手山(2038m)も薄曇りの中で霞んできた。眼下に見える沼は夜沼で、右手の山は大深岳(1541m)である。
八幡平頂上直下の見返峠(1540m)に着く頃には雲が次々と湧き出て、今にも雨が降りそうになった。八幡沼を一周する山頂散策路は以前歩いたことがあるので、時間が短くて済む藤七温泉下の蓬莱境を歩いてみることにした。蓬莱境入口の道路脇にはまだ大きな残雪があった。
雪解けとともに咲き始める水芭蕉が、小振りだが可憐な花を数多く花開いていた。
道端には赤いイワカガミの花が咲いていた。イワカガミの仲間はいくつかあるが、花数が12個ほどあるこの花は、オオイワカガミ(Schizocodon soldanelloides var.magnus)と思われる。
蓬莱境入口から林の中を入ると可憐な赤紫色のツツジが咲いていた。ムラサキヤシオツツジ(Rhododendron albrechtii)という落葉低木。北海道と滋賀県以北の山地帯〜亜高山帯に生える日本固有種。
こちらの小さな白い花は、キンポウゲ科オウレン属のミツバオウレン(Coptis trifolia)という常緑多年草。北海道および中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の林内、林縁に生える。白い花弁状の萼片は5個。花弁は萼片より小さく黄色の高坏状。
大きな葉が3個輪生し、暗紫色の花を咲かせているのは、エンレイソウ(Trillium apetalon)という多年草。北海道〜九州の山地帯〜亜高山帯のやや湿った林内に生える。礼文島や利尻島で見たオオバナノエンレイソウやミヤマエンレイソウは白い花だったが、このエンレイソウは暗紫色なので見分けやすい。
蓬莱境は蓬莱沼まで一周約40分の遊歩道があるというが、大量の残雪で道が覆われていたため散策は取りやめた。