半坪ビオトープの日記

乗鞍高原温泉郷


牛留池から宿に戻る途中で、一瞬だけ雲が少し上がって乗鞍岳の山腹が姿を見せた。上の方には雪渓が少し見えるが、山頂はまだ雲に隠れている。天気予報によると、松本盆地乗鞍高原の明日の天気は少しよさそうだが、乗鞍岳は遠い沖縄地方にある台風11号の影響で山頂付近のみ荒れるそうだ。

宿の近くで、赤紫色のヤナギラン(Epilobium angustifolium)の花が咲いているのを見かけた。本州中部地方以北〜北海道の日当りのよい山野に生える多年草で、高さは1〜1.5mになる。ヨーロッパやアジア、北アメリカなど北半球の温帯に広く分布し、森林の伐採後や山火事跡にいち早く侵入し、大群落をつくる。

乗鞍高原温泉郷のスキー場近くの鈴蘭地区にある眺峰館の露天風呂は、源泉掛け流しの白濁した湯で、ススキと岩に囲まれた岩風呂でゆったりできる。満天の星空を仰ぐことができればなおよいのだが。

内湯も簡素な作りだが、のんびりできる。泉質は単純硫黄泉で、乳白色のお湯が肌をすべすべにしてくれる。

乗鞍高原には、善五郎の滝のほかにも番所大滝や、日本の滝百選にも選ばれている三本滝があり、牛留池のほかにもあざみ池や、御池などがあって散策コースがいくつもある。翌朝、山頂付近は霧雨なので、乗鞍岳登山は諦め上高地に向かうこととした。時間があったので宿の付近を散歩した。この黄色の花は、キンミズヒキ(Agrimonia pilosa var. japonica)である。北海道〜九州の山野に生える多年草で、高さは30~100cmになる。葉は5〜9枚の奇数羽状複葉で、小葉の縁には鋸歯がある。茎の先に総状花序をつけ、黄色の5弁花を多数咲かせる。

こちらの風変わりな形をした淡紫色の花は、センニンソウ属のクサボタン(Clematis stans)である。本州の山地の草原などに生える半低木で、高さは1mほどになる。葉は1回3出複葉で、小葉は卵形で3浅裂し、先端は鋭く尖り、縁には鋸歯がつく。茎の先端や葉腋から集散状の花序を出し、細い釣鐘状の花を多数つける。4枚の花弁に見えるのは萼片で、花弁はなく、萼片の先は反り返る。小さく可愛い花だが、全草が有毒なので注意を要する。

このセリ科の花は、シシウド(Angelica pubescens)である。本州〜九州の山地の斜面や、やや湿ったところに生える多年草で、高さは1〜2mになる。開花するのに数年かかり、開花すると枯れてしまう。和名の猪独活とは、ウドに似るが強剛で、イノシシが喰うのに適したウドと見て名付けられたという。

こちらの花が、ウコギ科タラノキ属のウド(Aralia cordata)である。日本全国の山地に生える多年草で、高さは2〜3mになる。香が強く、山菜として好まれる。若葉、つぼみ、芽および茎が食用にできる。「ウドの大木」というが、木ではなく、大きくなると食用にも材木にもならないから例えられたというが、実際には夏頃まで若葉やつぼみが山菜に利用できる。大木に育った場合には、芯の部分は生でもほとんどアクがなく、雑味もなくなる。軟白栽培の白ウドでは、捨てる処がなく全て食べられる。

このユリのような花は、ウバユリ属のウバユリ(Cardiocrinum cordatum)である。関東地方以西から四国・九州の山地の森林に生える多年草で、高さは1mほどになる。花が満開になる頃には葉が枯れてくることが多く、歯(葉)のない「姥」にたとえて名付けられた。