半坪ビオトープの日記

セゴビア、アルカサル

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アルカサル城

いよいよ標高1000mの高地に位置する城塞都市セゴビアの名城アルカサル城(Alcázar de Segovia)が見えてくる。紀元前にはケルト民族の城が、また、古代ローマ時代には要塞があった場所で、12世紀にカスティリャ王国アルフォンソ6世により改築され、13世紀にアルフォンソ10世(在位1252-84)がムデハル様式の城に増改築した。以降、数世紀にわたり増改築が繰り返された。

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「砲兵隊長ルイス・ダイオスとペドロ・ベラルデの記念碑」

城の前にはレイナ・ビクトリア・エウヘニア広場があり、そこに大きな記念碑が建っている。後にスペイン独立戦争へと発展することになった、1808.5.2の英雄「砲兵隊長ルイス・ダイオスとペドロ・ベラルデの記念碑」である。

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アルカサル城

アルカサル城は街の最北端の岬、エレスマ川とクラモレス川の合流地点の花崗岩の上に建てられていて、外観からよく船に例えられるが、オレンジの船体に青いマストを立てた軍艦のような姿は、この南側からではなく城の北側から見られる。

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アルカサル城

世界の名城の一つに選ばれているアルカサル城は、映画「白雪姫」の城のモデルになったといわれるが、最大のポイントはファンタジックな円錐形の屋根である。フェリペ2世の時代に大改修した際、北ヨーロッパ風のスレート葺きになった。1472年1213日、カトリック女王として知られるイザベルはアルカサルからマジョール広場での戴冠式に向かい、そこでスペイン王として戴冠し、セゴビアはスペインの中心地となった。1862年には大火事で大半が焼け落ちる悲劇に見舞われたが、アルフォンソ13世により1882年、建て直しが命じられ現在の姿に至る。15世紀に追加された南正面の高さ80mの塔は、フアン2世の塔(Torre JuanⅡ)と呼ばれ、外壁はズグラッフィートという漆喰塗りの技法で壁装飾が施されている。塔の最上部にはカスティーリャレオンの紋章が見え、屋上の展望台に上がることもできる。

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深い堀

城へ続く橋の両側には深い堀が巡らされている。

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武器のパティオ

フアン2世の塔をくぐって城の中に入ると建物で囲まれた武器のパティオ(Patio de Armas)に出る。フェリペ2世の時代に大改修された独特な古典様式のパティオ(中庭)である。

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旧王宮の間

パティオの右側(東)の部屋は、旧王宮の間(Sala del Palacio Viejo)と呼ばれる。アーチ型の二連の窓の間としても知られ、アルフォンソ1世の統治下のもので、ムデハル様式の装飾が施されている。

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玉座の間

旧王宮の間の右手前にある玉座の間(Sala del Trono)は、トラスタマラ家統治下に作られた。飾られている玉座1808年5月2日、100周年記念式典に出席したアルフォンソ13世とビクトリア・エウヘニア王妃のために作られたものである。

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ガレー船の間

玉座の間の北、旧王宮の間の東にある大きな部屋は、ガレー船の間( Sala de la Galera)という。イスラム様式が取り入れられた天井の金色の木細工が、ガレー船の船底に似ているため、そう呼ばれるようになったという。突き当たりの壁に描かれているフレスコ画は、1474年にマヨール広場で行われたイザベル1世のカスティーリャレオン王国女王の戴冠式の様子である。

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エンリケ3世のステンドグラス

ガレー船の間にはいくつもステンドグラスがある。これはエンリケ3世のステンドグラス。アルカサルのステンドグラスは中世ではなく近代に作られたものである。

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エンリケ3世の王妃カタリーナ・デ・ランカステル

こちらはエンリケ3世の王妃カタリーナ・デ・ランカステル。1412年、幼少のファン2世に代わり、ガレー船の間の建築を命じた人物でもある。

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松かさの間

ガレー船の間の北には松かさの間( Sala de las Piñas)がある。ファン2世により建築を命じられ、15世紀の調度品が置かれている。天井にある392個の松かさのモチーフが名前の由来である。

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王の寝室

松かさの間の西に王の寝室(Cámara Regia)がある。セゴビアのサン・マルティン地区にあるエンリケ4世の宮殿のものを再現した部屋である。樫木製のゴシック様式のベットに金刺繍の天蓋が豪華である。