町の中心にあるマヨール広場(Plaza Mayor)の正面にカテドラル(セゴビア大聖堂)が建っている。カルロス1世の絶対主義支配に対する、自治都市を主張するコムネロスの反乱(1520)で大部分が破壊されたが、1525年にカルロス1世が再建に着手し、243年後の1768年に完成した。
ゴシック様式の大聖堂としてはスペインおよびヨーロッパで最も新しく、その優美な姿から「カテドラルの貴婦人」の通称を持つ。
カテドラルの高さは33m、内部の奥行きは105m、幅は50m、鐘楼の高さは88mである。大聖堂は3つの部分から成り立ち、半円形の先頭部分、回廊、礼拝堂である。細かい網目模様の窓とたくさんのステンドグラスがはめ込まれた回廊が特徴的である。
回廊脇の多くの礼拝堂に囲まれて主祭壇がある。新古典主義の祭壇画は、イタリアの建築家フランチェスコ・サバティーニにより設計され、カルロス3世により作られた。様々な色の大理石と青銅で刻まれ、中央には13世紀の平和の聖母像が安置され、その両側にはアデバ・パチェコが作ったセゴビアの聖人、聖フルートスと聖ゲロテオの大理石像が立っている。上部にはマリアのアナグラムがあるといわれ、両側には聖バレンタインと聖エングラシアの大理石像が控えている。マリアのアナグラムとは何か、雲と天使の栄光の中にマリアのアナグラムがあるとの説明なので、聖アンデレ十字(X十字)のように見えるものかと思うがよくわからない。
主祭壇の前には、年末年始の時節柄か、イエス誕生の様子が示されていた。
主祭壇に向かい合う聖歌隊席は、旧カテドラルから移された15世紀末のもので、彫刻家サン・ペドロ・デ・バレンシアの作品である。
壮大なパイプオルガンはバロック様式で厳かにそびえ立っている。高さは約19m、約2600本のパイプで構成されている。
各所に見られるステンドグラスは、どれも美しく描かれている。しかし、ルネッサン期の重要な作品として有名な、エンリケ4世王から町に寄贈されたという、フランシスコ・エランスの「聖母マリア」のステンドグラスがどれか、見定めることは叶わなかった。
最も神聖なサンティッシモ礼拝堂の入口周辺にも祭壇画が架けられていた。
どの礼拝堂も祭壇は豪華絢爛だが、このサンティッシモ礼拝堂(Capilla del Santísimo)には、ホセ・デ・チュリゲーラが設計した祭壇画が飾られ、ソロモンの柱と豪華で動きのある彫刻が幾重にも天上へと展開されていて、見事という他ない。
22ある礼拝堂祭壇はそれぞれ趣向を凝らした意匠で華麗に設えられている。この聖ゲロテオ礼拝堂(Capilla de San Geroteo)のようにセゴビアの聖人が祀られている礼拝堂もいくつかある。
礼拝堂がこれほど多く設けられる必要がどこにあるのか、不思議に思えてくるほど多種多彩である。この聖アントン礼拝堂(Capilla de San Antón)の祭壇画は、ホセ・ヴァレーホ・ヴィヴァンコ(José Vallejo Vivanco)の1615年の作品である。
付属の博物館には、司祭の衣装などが展示されている。
カテドラル正面のマヨール広場から北の路地を進むと、程なくしてサン・エスティバン教会がある。13世紀に建てられた後期ロマネスク様式の教会で、回廊や柱頭は当時の姿をとどめている。6層に積み上げられた高さ53mの塔は、スペインに数ある鐘楼の中でも美しく「塔の女王」とも呼ばれる。
マヨール広場に戻り、北西にあるアルカサルに向かうとすぐに、サン・アンドレス教会がある。12世紀に建てられた教会で、3つの身廊を持ち、16世紀から17世紀の祭壇画を所有している。