ミフラーブの直ぐ左隣に、バロック様式で1703年に完成したサンタテレサ礼拝堂があり、大聖堂の聖具室(Sacristía)として使われている。中央にはゴシック様式の聖体顕示台(Custodia Procesional)がある。内部の壁を飾る祭壇画は、コルドバの画家アシスクロ・アントニオ・パロミーノの作といわれる。
豪華な金銀細工で飾られている聖体顕示台は、1510-16年にドイツ人金銀細工師エンリケ・デ・アルフェが制作したもので、今でもキリスト教の祭日には聖体が街を巡る時に使われているという。
聖具室は左に連なる部屋にも続き、聖具やイエス像、マリア像、天使蔵、金製の十字架などがずらっと展示されている。ガラスケースの中、両端にあるのは大司教が聖神降誕祭の時に使う儀式杖である。
メスキータは、最初のアブド・アッラフマーン1世によるモスク建築(786-788)から、大きく3回増築されているが、アル=マンスールによる最後の3回目の増築(991-994)で左半分(北東部)が追加された。その時、石工たちの作った棟飾りの植物模様も展示されている。
東の角にサグラリオ小教区教会がある。柵越しに中を覗くと、1583年にチェーザレ・アルバシアにより着手された一連の壁画に圧倒される。中央の祭壇上は「最後の晩餐」である。
当時のイタリアで主流を占めていた芸術作風が取り入れられ、主に殉教者をテーマに描かれている。
西と南の壁沿いを見学した後は、中央部の王室礼拝堂と中央礼拝堂を見る。エンリケ2世は1371年、アルフォンソ11世やフェルナンド4世を埋葬するための王室礼拝堂の建設を命じた。スペイン王室の権力とカトリック信仰も反映されている。目をみはるモカラベ装飾の施された交差型アーチのヴォールトを備えた荘厳な王室礼拝堂は、現在見学できず、一部を垣間見ることしかできない。
メスキータの中央にある中央礼拝堂は、完成までに非常に長い年月がかかり、ゴシック、ルネサンス、バロックなど様々な建築様式が混在している。広大な明かり取りの役割を果たす翼廊は、建物全体に光をもたらし、この類まれな建築物全体に光をもたらし、複雑な美しさを添えている。
紅大理石が存分に使われた中央祭壇の上部には、バロックの巨匠パロミーノの絵画が飾られている。
中央礼拝堂の向かい側には聖歌隊席があり、マホガニー材の椅子には繊細な彫刻が施されている。聖歌隊席の左右にはとても大きなパイプオルガンが設置されている。
聖堂参事会は1748年、聖歌隊席の彫刻をペドロ・ドゥケ・コルネホに依頼した。聖歌隊席の中央に位置する司教座の彫刻「イエスの昇天」も手がけた。
最初のアブド・アッラフマーン1世によるモスク建築(786-788)から、大きく3回増築され、アル=マンスールによる最後の3回目の増築(991-994)で左半分(北東部)が追加された。手前の最初期のアーチは煉瓦と石の積み重ねで構成されたが、最後の増築部のアーチは塗料で赤と白の縞模様が描かれている。
3回目の増築部のアーチは紅白の塗料で済まされているが、それでも一千年以上が経過している。明るく広々とした空間が確保されているのでよしとしよう。広大なメスキータの半分以上がキリスト教会用に改築されてしまっているとはいえ、千年以上も前のモスクが残され、並存されてきたことに今更ながら驚く。