メスキータ大聖堂の出口は、北の角にある聖カタリナ門であり、エルナン・ルイス2世が16世紀に設計した門である。
聖カタリナ門を出て、メスキータに沿って南にあるローマ橋に向かう。メスキータの東壁は、アル=マンスールによる3回目の増築時(991-994)にできたもので、高さが10mもある。その壁には内部の二重アーチの円柱やミフラーブなどを象ったビザンチン様式のモザイク装飾が再現されている。
メスキータ内を見学中にも一箇所、南にあるローマ橋を眺める窓があった。右手に見える背の高いモニュメントは、聖ラファエロ勝利記念碑である。この塔は18世紀のフランスの彫刻家ミゲール・ベルディギエルにより建てられたものである。左手にはプエンテ門が見え、その向こうにローマ橋が隠れている。
メスキータの裏手には、大きなグアダルキビル川が流れている。Guadalquivirとはアラブ語で「大きな川」を意味する。16のアーチで支えられた全長230mのローマ橋は、紀元前1世紀に造られ、その後、何度か再建されている。現在の構造物のほとんどは、8世紀のムーア人の再建設に遡る。
ローマ橋からメスキータを振り返ると、手前にトリウンフォ広場があり、大きなプエンテ門(Puerta del puente=橋の扉)が視界を遮っている。Puenteとはスペイン語で橋を意味する。堂々たる門は、かつて街を囲んでいたアラブの城壁の一部だった。1571年にルネサンス様式で再建されたが、未完成で工事が中止された。その後、1928年に記念門として再建された。左手奥に聖ラファエロ勝利記念碑が認められる。
ローマ橋を進んでいくと、橋の途中に聖ラファエロ勝利記念像が立っている。ラファエロ像は市内各地に見られるが、ほとんどが高い記念塔の先に小さく見えるだけなので、これほど間近に見ることができるのは珍しい。聖ラファエロは大天使であり、コルドバがペストに襲われた時、コルドバを救ってくれたコルドバの守護神である。
ローマ橋からメスキータより左手を眺めると、木々が生い茂る岸辺の向こうにアルカサルの城壁がようやく認められる。
ローマ橋を渡りきったところに砦のように建つカラオーラの塔は、コルドバ旧市街の防衛施設として14世紀に建てられ、現在は博物館として使用されている。塔の上からはコルドバ市内を一望できる。
ローマ橋からポトロ広場を目指してグアダルキビル川に沿って歩き、上流のミラフローレス橋に着く。橋上から振り返ると、ローマ橋のアーチが夕日に染まる川面に映る姿が眺められた。