半坪ビオトープの日記

セゴビア、アルカサル

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諸王の間

松かさの間の北には諸王の間(Sala de Reyes)がある。壁上部にはアストゥリアス王国のペラーヨから始まり、カスティーリャ王国レオン王国の歴代王の彫像がずらりと並んでいる。壁の絵画は、「カディス征服」。

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フェリペ2世の肖像画

こちらの壁には、フェリペ2世の肖像画が掲げられている。イタリアの女性画家ソフォニスバ・アングイッソラが描いた。

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ラ・ベラ・クルス教会

諸王の間の窓から左手(北)を眺めると、眼下のエレスマ川沿いの家並みの先の台地上に風変わりな教会が見える。ラ・ベラ・クルス教会(Iglesia de la Vara Cruz)という。

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ラ・ベラ・クルス教会

ラ・ベラ・クルス教会は、スペインでは珍しい12角形の教会。La Vara Cruz とはスペイン語で聖十字架を意味し、1208年にテンプル騎士団により建てられたといわれていたが、近年の研究ではその後を継いだ聖ヨハネ騎士団によって建てられた可能性が高いという。外観は、エルサレム岩のドーム聖墳墓教会を模したのではないかともいわれている。

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エル・パラル修道院

諸王の間の窓から右手(北東)を眺めると、エレスマ川沿いに大きなエル・パラル修道院(Monasterio del Parral)が認められる。エンリケ4世の指示により15世紀に建てられた修道院である。

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レオン王国・カステーリャ王国の王アルフォンソ6世とセゴビア司教のペドロ・デ・アジャン

諸王の間の北には小さな王の化粧部屋(Sala del Cordón)がある。元は王妃の化粧部屋で、後に砲術学校長の書斎となった部屋。ステンドグラスに描かれているのは、レオン王国・カステーリャ王国の王アルフォンソ6世とセゴビア司教のペドロ・デ・アジャン。二人の中央に描かれる絵は、「セゴビアエストレマドゥーラ(Extremadura)県のトップである」ことを示している。ちなみに現在のセゴビア県の市章も同様の配置(王冠+女性+ローマ水道橋)担っている。

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礼拝堂

こちらの礼拝堂(La Capilla)では、フェリペ2世とアナ王妃の婚礼のミサが行われた。主祭壇の衝立画は、16世紀のパルトロメ・カルドゥッチョの17枚の板絵と、砲兵の守護聖女である聖バルバラの彫像からなっている。

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礼拝堂の衝立画

もう一つの衝立画は15世紀の作品で、7枚の板絵からなり、中央にサンティアゴ大ヤコブ)、両脇に聖人たちが描かれている。

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「キリスト降架」

こちらの絵は、「キリスト降架」であろう。

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武器の間

一番北の大きな部屋は武器の間(Sala de Armas)。主塔の階下にあり、大砲や剣や槍など様々な時代の武器が集められている。

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プレートアーマー(板金鎧)

甲冑も様々な形の物が展示されている。槍斧や銃といった新しい武器の運用が始まり、戦場においては傭兵が台頭することで騎士の衰退が始まった15世紀の西洋甲冑は、全身を鉄板で覆うプレートアーマー(板金鎧)の誕生と発展により、機能的にも洗練されるとともに、装飾も施されるようになった。

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王のテラス(井戸のテラス)

武器の間を抜けるとアルカサル を船に見立てたときの船頭にあたる王のテラス(井戸のテラス、Terraza del pozo)に出る。すると青空に聳え立つ主塔を見上げてしまうが、このテラスにある古くて深い井戸は、なんとローマ水道橋の最終地点だという。

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カルロス3世の肖像画

アルカサル城内には王立砲兵学校博物館(Museo del Real Colegio)もある。マドリードに王宮が置かれてから、アルカサル城は王族の生活の場としての役割を失い、2世紀以上もの間牢獄として使用されていた。1764年カルロス3世により創設された王立砲兵学校は、現存の軍学校としては世界最古のものである。この絵がカルロス3世の肖像画である。

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時計のパティオ

こちらの中庭が、時計のパティオ(Patio del Reloj)。正面の壁の一番上に日時計、一番下にスペイン国王であり、神聖ローマ帝国皇帝(カール5世)でもあったカルロス1世の紋章がある。神聖ローマ帝国の「双頭の鷲」の両脇に、現在のスペインの国章にも描かれている「ヘラクレスの柱」をカルロス1世が初めて追加した。