半坪ビオトープの日記

斑鳩文化財センター、藤ノ木古墳出土品、剣や馬具など

藤ノ木古墳出土品、剣
藤ノ木古墳出土品はまだたくさんある。剣は、全体を金板と銀板で飾った上に、紺色のガラス玉を散りばめた豪華なもの。杷(つか)の先の部分(杷頭)は、平面が卵のような形で、側面は台形をしている。杷頭の中には2個鈴が入れられていて、振ると音が鳴る仕組みになっていた。

円頭大刀、魚佩、金銅製三輪玉、玉纏大刀
左の円頭大刀は、握る部分を銀線で巻いた金銅製の円頭形をした杷頭と、漆塗りの鞘を持つ朝鮮半島系大刀である。杷頭は先が細く、基部に向かって直線的に細くなる。基部側の中央に孔が1つあり、その表裏には花びらが6枚の花の形をかたどった銀製座金具が取り付けられている。その右の魚佩は、腹部で接する2匹の魚形の金銅板に、目・口・鱗・鰭を線刻して魚を表現する大刀飾りである。その右の金銅製三輪玉は、紺色のガラス玉が散りばめられた山形の金銅製玉で、大刀の杷部を飾っていた。一番右の玉纏大刀は、銀板と金銅板で装飾した上に紺のガラス玉を散りばめた日本風の大刀である。

石棺内遺物と被葬者
石棺内遺物出土状況とそれから推定された2人の被葬者の安置状況を見ると、北側(左側)被葬者が鏡3枚及び夥しいほどの副葬品で飾り立てられているところから主役と思われる。そして質素な南側被葬者が脇役と思われる。しかし、前にも記したように、人物の人骨調査からは、北側の人物は1725歳の男性、南側の人物は2040歳の男性の可能性が高いとされるので、両者の血縁関係は謎である。

馬具の杏葉や金具など
馬具の名称図は前にも記したが、杏葉や金具などが展示されていた。左下の鉄地金銅張鐘形杏葉は、釣鐘形をして下端には5つの突起が見られる。地板の鉄板に金銅板で覆った鉄製の透かし板を重ね、さらに金銅板を重ねた後、縁を鋲留めしている。左上は鉄地金銅張雲珠。雲珠は、馬の背中で交差する革帯を繋ぐために用いられる金具。右側の雲珠は、扁平な鉢部に6つの脚が取り付き、そのうちの1脚から「鐘形杏葉」が吊り下げられていた。右上は金銅製花弁形歩揺。右下は金銅製歩揺付尻繋飾金具。馬の尻部の革帯が交差する箇所に取り付けられた飾りである。心棒から伸びる10本の吊手金具に大小2枚の歩揺が付く。歩揺は全て取り外された状態で、石棺内から約840枚出土している。

金銅製飾金具や金銅板装壺鎧など
左下は金銅製帯先金具。革帯を挟む基部と蝶番でつながる本体からなる。本体は金銅製の板に飛雲文を透かし彫りした板を重ね、鋲で留めている。その右上は、金銅製心葉形飾金具である。ハート形の金銅板の中にパルメット文が透かし彫りされ、上部に金銅製のかこが付く。その右下は金銅製円形飾金具。円形の金銅板に組紐文様が線彫りされ、パルメット文や心葉文が透かし彫りされている。右端は木心金銅板装壺鎧。鎧(あぶみ)は馬に乗る時に足をかけたり、走行中に足を置いたりするのに使われる。この鎧は
杓子形をしており、木を曲げて輪状とした木心を金銅板が覆っている。また、壺部は革が使われたと思われ、パルメット文の表現された鳩胸金具により装飾されている。

金銅製竜文飾金具
こちらは金銅製竜文飾金具。沓底形に似た平な金具の先を尖らせた形状である。鉄板・金銅板・金銅製透かし板の3枚を重ねて鋲留めしている。文様は口を開けた右向きの竜で、目には紺色のガラス玉が嵌め込まれ、竜文と縁金との間にはパルメット文が見られる。

金銅製棘葉形杏葉
こちらは金銅製棘葉形杏葉。杏葉とは馬の胸部や尻部の革帯に取り付けられる装飾的な馬具である。棘のある葉の形を表現した鉄板と金メッキを施した銅板を重ね、その上に向かい合った鳳凰とパルメット文が透かし彫りされた金銅板を重ねて鋲留めされている。

金銅製心葉形鏡板付轡
こちらは金銅製心葉形鏡板付轡(くつわ)。馬の口にかませる「銜(はみ)」と手綱をつなぐ「引手(ひって)」、口の両側に取り付けた「鏡板」からなる。心葉形の鏡板は、鉄板・金銅板・金銅製透かし板の3枚を重ねて鋲留めしている。十字文で分けた区画内にはパルメット文が見られる。

須恵器
石室の右袖部より須恵器40点と土師器11点が集中して出土した。高杯や台付壺の割合が高いなど、器種に偏りが見られることから、葬送儀礼に使用された土器と考えられている。こちらの須恵器では、左奥が器台、中央手前が無蓋高杯、中央奥が有蓋高杯である。

土師器と須恵器
これらの土器は、藤ノ木古墳では追葬が認められないことから、その造営年代を決める上で重要な遺物とされる。左手の土師器では、左手前が短頸壺、右手前が直口壺である。右手の須恵器では、左が壺、右2つが有蓋台付壺である。