半坪ビオトープの日記

明神岳


こちらのキキョウ科の花は、ツリガネニンジン属のソバナ(Adenophora remotiflora)である。本州〜九州の山地の林縁や沢沿いに生える多年草で、高さは50~100cmになる。花期の8月頃、青紫色の円錐状に近い鐘形の花を咲かせる。花冠の先は5裂し、裂片の先は鋭く尖る。花柱は花冠より突き出ず、柱頭は3浅裂する。

この細長い花序に咲く白い花は、バラ科ヤマブキショウマ属のヤマブキショウマである。よく似たユキノシタ科チダケサシ属のトリアシショウマと比べると、ヤマブキショウマの葉にはほぼ平行な葉脈が10本以上並ぶのに対し、トリアシショウマの葉脈は本数が少なく平行感がないという違いがある。

黄色い小花をたくさん咲かせているのは、ハクサンオミナエシ(Patrinia triloba var. triloba)である。本州の北陸地方から東北地方の山地の岩場に生える多年草で、高さは20~60cmになる。葉の形は広卵形で、掌状に3〜5裂し、裂片には歯牙または欠刻がある。花冠が5裂した径5mmの花を集散花序につける。別名、コキンレイカ(小金鈴花)という。

この風変わりな花は、キク科コウモリソウ属のオオカニコウモリ(Cacalia nikomontana)である。本州の東北地方から中国地方の日本海側に分布し、深山の湿った林下に生える多年草で、高さは50~100cmになる。稲妻形に曲がる茎の先、総状というより笠状に近い花序に、筒型の白い小花を横向きに咲かせる。カニの甲羅のような葉を持ち、カニコウモリより葉が大きい。カニコウモリの花は、たてに細長い花序に総状につく。

こちらの黄色いホトトギスの花は、タマガワホトトギス(Tricyrtis latifolia)である。北海道〜九州の山地の湿った林内に生える多年草で、高さは30~80cmになる。茎先に径2.5cmほどの黄色い花を開き、内部に赤褐色の小さな斑点がある。花の色が山吹に似ていることから、古歌にある「山城の井出の玉川水清み さやにうつろう山吹の花」より(京都の)玉川の名がついた。

こちらの黄色いキクの花は、サワギク(Nemosenecio nikoensis)である。北海道〜九州の山地の沢沿いなど湿ったところに生える多年草で、高さは60~90cmになる。葉は薄く、羽状に深裂する。夏に径12mmほどの頭花をたくさんつけ、花が残っているうちに果実の白い冠毛が目立つようになるので、別名、ボロギクという。

道はいつしか針葉樹の原生林の中を進む。両側には笹が生えていて少し薄暗いが、道は歩きやすい。

やがて左手に梓川が垣間見られるようになり、川の向こうに明神岳の山肌が見えてくる。上の方は雲に隠れていて見えないが、一番左に尖って見えるのが、2263峰といわれる峰である。