半坪ビオトープの日記

菊水寺


法性寺から秩父市下吉田に向う途中に、札所33番である曹洞宗の延命山菊水寺がある。参道入口の寺標には「大桜山長福寺」とあり、その側面に「延命山菊水寺」と彫られている。かつて小坂下と呼ばれる土地にあった菊水寺を管理していた別当が長福寺であった。永禄12年(1569)の信玄焼きによって、本尊が長福寺に移されたといわれている。

参道正面に文政3年(1820)の建立といわれる間口8間、入母屋造の本堂が見える。寺の庭に「菊水の井」という名井があったことから寺名になったという。

本堂入口には「正大悲殿」と記された大きな額が掲げられている。

本堂に入ると珍しく土間になっている。本尊の聖観世音は、檜材の一木造、目は彫眼、像高88cmの立像で、平安時代の作と推定されている。別に本尊を模した聖観世音の立像があり、室町時代の作といわれる。欄間には精巧な天女の彫刻が施されている。

入口左右の欄間に「子がえし」と「孝行和讃」の絵図が掲げられている。「子がえし」の絵図は、江戸時代の頃盛んであった間引きを諌めたもので、我が子を圧殺する女の絵が描かれている。これは秩父聖人といわれた井上如常が奉納したものである。

本堂手前、参道の左手に芭蕉の句碑がある。寛保年間(1741~43)に、芭蕉翁の50回忌に建てられたもので、県内最古であるという。
寒菊やこぬかのかかる臼の端

芭蕉の句碑の右側には地蔵菩薩がいくつか祀られている。左には慈悲地蔵尊、右には厄除地蔵尊と台座に彫られている。