半坪ビオトープの日記

黒岳ロープウェイ


翌日はどんよりと曇っていて、時折、晴れ間が見えてもすぐに消えてしまう。山の上は霧か雨か分からないが、ともかく行けるだけ行ってみることにする。黒岳ロープウェイの向いの山は、朝陽山(1,370m)という。

標高670mのロープウェイ山麓駅から、標高1,300mの黒岳駅まで7分で着く。ここが黒岳の五合目となっている。

駅前にはいろいろな花が咲き乱れている。手前の白くて長い穂状花序の花は、ワレモコウ属のタカネトウウチソウ(Sanguisorba Canadensis ssp. latifolia)である。北海道と本州中部地方の高山帯の草地、岩礫地に生える多年草で、高さは30~60cmになる。葉は奇数羽状複葉で、小葉は5〜7対あり、楕円形〜広楕円形で鋭い鋸歯がある。

こちらの赤い実がなっている木は、スイカズラ属のチシマヒョウタンボク(Lonicera chamissoi)である。北海道と本州の中部地方以北の亜高山帯上部〜高山帯の低木林に生える落葉低木で、高さは0.5~1mでよく分枝する。液果は2個が完全に合着し、8〜9月に赤く熟す。一般に、ヒョウタンボクの仲間の実には毒があるといわれているので、美味しそうに見えるが食べてはいけない。

目の前にエゾシマリス(Tamias sibiricus ssp. lineatus)が走ってきて立ち止まった。ハイオトギリの黄色い花を見つめている。オトギリソウも薬効が強い薬草として知られるが、毒があるというヒョウタンボクの実をシマリスも鳥も食べるといわれる。

元気よく複総状花序を四方八方に伸ばして細かい花をたくさん咲かせているのは、バラ科ヤマブキショウマ(Aruncus dioicus)である。北海道〜九州の山地帯〜高山帯の草地や林縁、渓流沿いなどに生える雌雄異株の多年草で、高さは30~90cmになる。右の枯れかかった白い花は、マルバシモツケである。

こちらのフウロソウは、エゾグンナイフウロ(Geranium eriostemon var. reinii f. yezoense)という。フウロソウの仲間は、近似種が多く見分け難いが、標識が立っていた。北海道の中央高地周辺の亜高山帯〜高山帯に特産する多年草で、高さは30~50cmになる。葉の切れ込みが深く、表面は無毛である。

こちらの赤いバラは、オオタカネバラ(Rosa suivis)である。北海道と本州の中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地や岩礫地に生える落葉低木で、よく分枝して高さは0.5~1.5mになる。小葉は2〜3対あり、花は枝先に1個ずつつき、紅紫色で直径3〜4cmである。

道端の花を見ながら200mほど歩くとリフト乗り場があるが、その向こうは霧が立ちこめているようだ。