半坪ビオトープの日記

室堂ターミナルへ


二日目は一日中雨が降り続いたので、終日宿の中でごろごろ過ごした。それでも運良く温泉だったので、朝寝・朝酒・朝湯と小原庄助を満喫してしまった。
三日目の朝もまだ雨が降ったり止んだりで、霧と雲がたれ込め視界は100mあるかないかの悪天候だった。室堂ターミナルに戻っていく登山客の足取りは、どうみても重たく感じてしまう。

今日は立山を下るしかないが、宇奈月に泊まって翌日黒部渓谷を観光する予定なので、弥陀が原などの高原散策ができるか、室堂バスターミナルに出向いて聞いてくるといって、朝早く一人でターミナルへ出かけてみた。
足下のコバイケイソウの花も、雨にぬれて重たく垂れ下がっていた。

前々日も通った道だが、そのときは写真を撮らなかった目立たぬ花も、今度は撮ってみることにする。手前のアザミは、アザミ属のダイニチアザミ(Cirsium babanum)である。北アルプス北部の亜高山帯から高山帯の草地に特産する多年草で、高さは0.4~1mになる。頭花は下向きに咲き、総苞の外片は長く伸びて反り返る。
奥のタデは、オンタデ属のウラジロタデ(Pleuropteropyrum weyrichii)であろう。北海道と本州の岩木山、日光、北アルプス中北部の亜高山帯から高山帯の砂礫地に生える雌雄異株の多年草で、高さは0.3~1mになる。葉の裏面は綿毛が密生して白っぽい。茎上部に円錐花序の花を咲かせ、赤味がかった黄白色の小花をたくさんつける。

こちらのセリ科の花は、ハナウド属のオオハナウド(Heracleum lanatum var. asiaticum)である。北海道と本州の氷ノ山以北の山地帯から高山帯の草原に生える大型の多年草で、高さは約1mになる。大き目の葉は3~5個の小葉からなり、小葉は3~5中裂し、縁は欠刻状に切れ込む。花弁の大きさが不揃いで周辺部が大きく中央部が小さい。

こちらのタデは、オンタデ(Pleuropteropyrum weyrichii var. alpinum)と思われる。先ほどのウラジロタデの変種で、北海道の大雪山と本州の中部地方以北に分布する。厳密には葉の裏の綿毛の有無を確認しなければないのだが。

こちらのセリ科の花は、前にも見かけたキレハノハクサンボウフウ(Peucedanum multivittatum f. dissectum)である。ホソバノハクサンボウフウともいうが、品種名のdissectum とは「全裂した」という意である。

こちらの黒っぽいつぼみをつけているのは、トウヒレン属のクロトウヒレン(Saussurea nikoensis var. sessiliflora)である。東北地方南部から中部地方日本海側の高山帯の草地に生える多年草で、総苞は球形で暗紫色をしている。シラネアザミの変種で、頭花柄がほとんどなく2~3個の頭花が密集している。8月~9月にかけて咲く筒状花は帯紫色である。

ふたたびウサギギクを見かけたが、対生の葉は見えない。上に垂れている黒紫褐色の穂は、カヤツリグサ科スゲ属のアシボソスゲ(Carex scita var. brevisquamata)である。本州の鳥海山、白馬岳、立山、白山など日本海側の高山に特産する多年草で、高さは20~70cmになる。