半坪ビオトープの日記

雷鳥沢


ミクリガ池の西側から来る道と合流して少し北に進むとエンマ台に着く。今は立ち入り禁止の地獄谷の全景を一望できる展望台で、所々から噴煙が上がっているが、有毒ガスが噴出しているという。天候がよければ東側に立山連峰も見えるはずだ。国指定天然記念物「立山の山崎圏谷」の石碑がある。氷河地形の圏谷で、立山の雄山北西山腹に幅約400m、長さ約600mあり、山崎カールともいうが、今日は雲で見えない。

右手には噴煙か霧の向こうに室堂乗越の山並が見える。

エンマ台から東に向きを変えて進むと左の北側に大きな雷鳥荘が見えた。標高2,400mの山小屋である。その向こう側には雷鳥沢ヒュッテとロッジ立山連峰があるはずだが見えない。

正面から左にかけては、リンドウ池を廻って雷鳥荘に向っていく遊歩道が見える。リンドウ池は標高2,354mに位置する火口湖で、その名の通り周辺には夏にタテヤマリンドウやミヤマリンドウが咲き乱れるという。

遊歩道の右手には先ほども見た血の池が間近に見える。

遊歩道が下り始め岩が多くなるところで引き返すことにする。道端にはゴゼンタチバナ属のゴゼンタチバナ(Chamaepericlymenum canadense)が咲いていた。北海道と本州中部地方以北、四国の亜高山帯から高山帯の林下や林縁に生える多年草で、高さは10cm前後である。4〜6枚の葉が輪生状に付き、白い4枚の総苞片が花弁のように見える。秋には小さな赤い実がなる。

湿気のあるところにイワイチョウ属のイワイチョウ(Fauria crista-galli var. japonica)が咲いていた。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯から高山帯の湿性草原に生える多年草で、群生することが多い。和名は、縁に円形の鋸歯がある肉厚の葉をイチョウの葉に見立てたものである。ロウト状の花冠は5つに深裂し、裂片の縁は波打つ。

ようやく足下で、リンドウ属のタテヤマリンドウ(Gentiana thunbergii f. minor)を見つけた。北海道と三重県以北の山地帯から高山帯の湿地に生える多年草で、高さは5~10cmである。ミヤマリンドウと似るが、株の基部に根葉があり、葉は弱々しく茎を抱いて開出しない。花は普通淡青色だが、立山にはこのような白色品が多い。

こちらの花は、シオガマギク属のエゾシオガマ(Pedicularis yezoensis)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯から高山帯の草地に生える多年草で、高さ20cm~50cmになる。3〜6cmの葉は三角状披針形でふつう互生し、上部の葉腋に黄白色の花を一つずつ咲かせる。
立山の初日は雲が低く垂れ込めていたが、なんとか散策ができ、日本最高所といわれる温泉でくつろぎ英気を養った。