半坪ビオトープの日記

ミドリガ池


ミドリガ池に近づいたところで、シオガマギク属のヨツバシオガマ(Pedicularis chamissonis var. japonica)を見つけた。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯から高山帯の草地に生える多年草で、葉は普通4個輪生するのでヨツバという。紅紫色の花は、茎頂に4個ずつ数段輪生する。花冠、上唇弁の先はくちばし状に尖る。葉は羽状に全裂し、裂片はさらに羽裂する。

こちらの黄色の花は、コウゾリナ属のカンチコウゾリナ(Picris hieracioides ssp. kamtschatica)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯から高山帯の草地に生える多年草で、茎や葉、特につぼみに黒っぽい剛毛が多い。カンチとは寒地の意である。

ようやくミドリガ池畔に着いた。ミクリガ池に比べ面積も小さく水深も約1.6mと浅いが、透明度は高い。名の由来には諸説あり、修行者が池の水で身を清めたことから「水取りが池」、深い緑色の湖水から「緑池」「碧池」などという。また、この水で修行者達が墨を摺っていたという伝説もある。

こちらの黄色の花は、ニガナ属のタカネニガナ(Ixeris dentate var. alpicola)である。北海道、本州、四国の石鎚山屋久島に分布し、高山帯の岩場に生える多年草。ニガナの高山型で、高さは5~20cmと小型だが頭花は大きい。クモマニガナ(I. d. var. kimurana)とよく似るが、タカネニガナの葉幅は約1cm、花弁は9~10枚で、クモマニガナの葉幅は約2cm、茎が太く、花弁は11枚なので区別できる。

右手のミドリガ池を過ぎると左手にミクリガ池が見えてくる。氷山のように浮かぶ雪の固まりが水中で青くなって美しい。

次に右手に大きな雪田と、エンマ台から雷鳥沢へ下る稜線上を上がってくる登山者の列が見える。その彼方向こうには、室堂乗越と別山乗越の稜線が見える。

もっと右を眺めると、雷鳥沢から上がってくる登山者が延々と列をなしているので、中学生くらいの林間学校の集団と思えた。稜線の手前の水の溜まった沼地は、血の池である。湖水や湖底の泥が酸化鉄により赤みを帯びているので、立山地獄の一つとして「血の池地獄」と呼ばれ、この名がついたという。

ピンク色のテガタチドリの周りには、ヤマハハコ属のヤマハハコ(Anapphalis margaritacea)が咲いている。北海道と本州中部地方以北の山地帯から高山帯の日当りのよい乾いた草地に生える多年草で、茎や葉の裏に白い綿毛がある。種小名のmargaritacea とは「真珠状」の意で、光沢のある総苞片を真珠に例えたものである。花期が7〜9月と長く、初秋の山でもよく見かける。

砂礫の間にぽつんと一つ、ウサギギク属のウサギギク(Arnica unalaschensis var. tschonoskyi)が咲いていた。北海道と本州中部地方以北の高山の草地に生える多年草で、対生する茎葉をウサギの耳に例えて和名が付けられた。頭花は一つでよく目立ち、別名はキングルマという。高さは15~35cmなのだが、風が強いからか10cmほどとかなり低かった。