半坪ビオトープの日記

数馬峡、もえぎの湯


数馬峡橋を渡って迂回路を終了し、多摩川東岸(右岸)の数馬峡遊歩道に入る。

橋の上から下流を眺めると、まだ川幅が広く白丸湖となっている西岸(左岸)に、カヌーが数隻集まっているのが見えた。この上流あたりで毎年、奥多摩カヌーフェスティバルが開催されているそうだ。

橋を渡って右に折れて数馬峡遊歩道を歩き始めると、道端にいくつか花が見られた。この小さな黄色の花は、サワギク(Senecio nikoensis)というキオン属の花で、日本全国の山地の沢沿いに自生している。

こちらの白い花は、ヤマアジサイHydrangea macrophylla var. acuminate)である。関東以西の山野の沢沿いに自生し、花色が白色の他、青紫色や淡紅色など変化に富んでいる。

こちらの大きなつぼみは、ヤマユリ(Lilium auratum)と思われる。日本特産の香りの強いユリだが、残念ながらまだ花開いていなかった。

足下の小さな黄色の花は、キツネノボタン(Ranunculus quelpaertensis)である。日本中の湿り気のある道端などに生える越年草で、よく見かけるが有毒植物である。実の形からコンペイトウグサと呼ばれることもある。

やがて民家が点在するようになり、道標に従って右に曲がり、左に曲がりして、海沢橋に来ると道端にお地蔵様が並んでいた。

橋を渡り左折して青梅街道沿いに歩いていくと、道端の大きな木にテイカカズラ(Trachelospernum asiaticum)がまとわりついて這い上り、たくさん花を咲かせていた。常緑つる性植物で、江戸時代から栽培され町中の垣根などでもよく見かけるが、本州以南の林内に自生している。クリーム色でスクリュー状の花びらが目立つが、花期以外はほとんど気付かない。

ようやく本日の目的地、「もえぎの湯」が近づいてきたところで、道端に「日向の馬頭さま」と呼ばれる馬頭観音が祀られていた。奥多摩は関東随一の急峻な地形で、中でもこの辺りの白丸と氷川の間はとりわけ急峻で、元禄時代に数馬の切通しができるまでひどく難儀を強いられていたという。この馬頭観音は、文化11年(1814)に建立され、交通の安全を見守ってきたが、幾度か道路改修に伴い移築されている。

日帰り温泉「もえぎの湯」は、奥多摩の地下深く、日本最古の地層といわれる古成層より湧き出る奥多摩温泉の源泉100%の温泉である。奥多摩駅から徒歩10分と好立地にあり、奥多摩ハイキング客がたくさん立ち寄り、週末は相当混雑する。多摩川の流れを眼下に風の音、鳥のさえずりを全身に感じながらつかる露天風呂は、ゆったりとくつろげて楽しめる。

青梅線の終着駅である奥多摩駅は、奥多摩湖日原鍾乳洞などの観光の他、雲取山・御前山・川苔山などの登山基地でもあり、週末は観光客やハイカーで賑わう。氷川駅といっていた遠い昔には、ハイキングのためによく来たものだ。