半坪ビオトープの日記

鳩ノ巣渓谷、白丸ダム


6月下旬、小雨の降る中を、いつもの友人達と奥多摩鳩ノ巣渓谷から数馬峡を歩き、もえぎの湯につかってきた。
鳩ノ巣駅を下車して多摩川に向い、双龍の滝を上から眺めてから鳩ノ巣小橋に向うと、道の右手に水神宮の石碑が立っていた。

その左横には小さな社がある。鳩ノ巣という地名の由来となった「玉川水神社」が鳩ノ巣渓谷の大岩の上にあるのだが、その分社ではないかと思われる。明暦3年(1657)江戸に振袖火事という大火事があり、町の復興と江戸城の一部を修理するために奥多摩の木材が必要となった。木材は多摩川を利用して運搬されるため、沿岸には人夫を泊める飯場小屋が各地に建てられた。この渓谷にも飯場小屋が建てられ、そこに祀った玉川水神社の森に二羽の鳩が巣を作った。朝夕えさを運ぶ様が睦まじかったので、村人達が霊鳥として愛護したことから、この地は「鳩ノ巣」と呼ばれるようになったという。

国民宿舎「鳩の巣荘」の看板がある坂を下って左に折れると鳩ノ巣小橋に着く。4月下旬に古里からここまで歩いて立ち寄った喫茶店「ぽっぽ」がある。周りの緑が随分濃くなっている。

鳩ノ巣小橋から下流を眺めると左手に大岩がある。この大岩の上に先ほどの話にあった「玉川水神社」すなわち水神宮があるのだが、残念ながら木々に隠れてみえない。多摩川沿いの鳩ノ巣渓谷は、木々の緑の中のゴツゴツした岩と清々しく流れる渓流でまさに絶景である。

上流を眺めると橋の近くの流れが弱くなっていて、川岸に下りることができるのが分かる。よく見ると深い草の間にこれから進む道が垣間見える。

道端の花の種類は少なく、どちらかというと雑草といわれるものが多い。赤い実を付けたヘビイチゴが目立つほか、ありふれた帰化植物のこのヒメジョオン(Erigeron annuus)が咲いていた。

やがて白丸ダムが見えてきて、近くにはマタタビ(Actinidia polygama)の純白に白化した葉が目立っていた。脇にはホタルブクロもいくつか咲いていた。

白丸ダムは、高さ30mの重力式コンクリートダムで、東京都交通局が昭和38年に建設した発電用ダムである。人造ダム湖は、白丸湖という。

白丸ダムには、国土交通省が平成13年に魚道を新設し、多摩川に生息する魚の往来ができるようにした。魚道落差27m、魚道延長332m(トンネル区間125m)魚道幅2mという都内最大規模のものである。ダムから見下ろせる魚道は、くの字形に上っていく約100mの最下流部で、階段を下る水に負けずに魚が上り始める部分である。

白丸ダムから白丸湖の南岸を歩く道は、崩落の危険があるため通行止めとなっていて、当分の間は青梅街道を歩くことになっている。街道沿いで見慣れないハギの花を見かけた。ハギの仲間は、7月から10月に咲くものが多いが、中には6月から咲き出すものもある。ただし、咲き方としては、普通は枝垂た枝に花を咲かせるものだが、このハギでは枝は直立し、ハギそっくりの花も花序が枝垂れずに直立している。残念だが名前は分からない。