半坪ビオトープの日記

フリティラリア・インペリアリス


先日、近所であまり見慣れない花を見かけた。フリティラリア・インペリアリス(Fritillaria imperialis)というバイモ属の花で、和名はヨウラクユリ、あるいは王冠ユリ、英名は Crown imperial(皇帝の冠)という。トルコ、イラン、アフガニスタンパキスタンカシミールなどの高地の岩石地に分布する球根植物で、中世末期頃にヨーロッパに導入され、16世紀以降の絵画に登場する。直立する太い花茎の最頂部に数個の花を下向きに咲かす。花色は黄色または橙赤色が多く、園芸品種も多い。球根に強い匂いがあり、モグラを寄せ付けないといわれる。

この花にはいろいろな言い伝えがある。キリストが受難の地ゴルゴタの丘に向ったとき、全ての花がキリストに対して尊敬の気持ちをこめて頭を下げた。ただし、この花だけは誇らしげにちょっと傲慢そうに背筋をピンと伸ばしたままだった。しかし、キリストがこの花に目を向けると、恥ずかしさで顔を真っ赤に染め、畏れ入って頭を下げた。フリティラリア・インペリアリスの花の基部に現れるキラキラした花蜜のしずくは、以来、フリティラリア・インペリアリスが流す涙だといわれ、「マリアの涙」とも呼ばれている。