半坪ビオトープの日記

笠森観音、山門


3月中旬に、房総半島東部を視察巡りするため一泊で出かけた。最初は茂原市の西南にある長生郡長南町の笠森観音を訪れた。緑深い周辺の山々は「県立笠森鶴舞自然公園」に指定されており、特に中心の観音山は、国の天然記念物に指定されて保護されている。
駐車場からは女人坂を上る。上り口に小さな窟があり、小さな石仏がたくさん祀られている。

照葉樹林の中の苔むした切り通しの中の道を上って行く。女坂には、真中に手すりが奉納されて上りやすくなっている。

やがて左手にまっすぐに伸びきった大きな三本杉が見えてくる。根元が一つに繋がっているという。

参道の途中に、朱色の立派な両部鳥居が建っている。熊野神社に続く鳥居である。

少し寄り道して右手に別れて上って行くと、あまりぱっとしない熊野神社の社殿があった。由緒は不詳だが、祭神は素盞鳴命で、寛仁2年(1018)の創立といわれる。

参道に戻って進むとすぐ左手に大きな楠木がある。子授楠といって、根元の穴をくぐると子供が授かるという。穴をのぞくと子授観音像がお祈りを待っている。

子授楠の向いの右手の崖には、芭蕉翁の句碑が建っている。
「五月雨にこの笠森をさしもぐさ」
天和年間(1681-83)に芭蕉観音堂の上で詠んだ句という。
笠森村の俳僧中村故貝の師、渡辺雲裡の十七回忌にあたる安永6年(1777)に三代の師恩に報いるため、芭蕉、蓮二(支考)、雲裡の石碑を建立したという。
芭蕉翁句碑の右には、獅子庵蓮二(各務支考)の句碑がある。
「片枝に脉(脈)や通ひて梅の花
芭蕉翁句碑の左には、支考の門人である義仲寺雲裡翁の句碑がある。
「すへられて尻の落着く瓢かな」

すぐ前には二天門が建っている。風神、雷神、閻魔大王、奪衣婆が安置されている。右の寺号標石には、「別格総本山笠森寺」、左の標石には「坂東三十三観音霊場第三十一番札所」とある。