半坪ビオトープの日記


千畳敷駅の北から北西に向けて千畳敷カールと宝剣岳が見えるのだが、駅舎の裏手、つまり南東の谷を見ると一面に雲海が広がっている。ロープウェイの鉄塔の先に微かに富士山(3776m)が見える。赤石山脈いわゆる南アルプスのほとんどが見えるので、分かりやすい一番北(左)の甲斐駒ケ岳(2967m)から順に追って確認しておこう。甲斐駒ケ岳の右にある最も低い峠が北沢峠(2032m)であり、次に甲斐駒ケ岳より高いなだらかな山が仙丈ヶ岳(3033m)である。次に高い山が日本第二位の北岳(3193m)で、その次に日本第四位の間ノ岳(3189m)と農鳥岳(3026m)が続く。その右に微かに富士山が頭を出していて、やがて尖った塩見岳(3047m)となる。その右にこの辺りで最も低い三伏峠(2570m)を越えて、双頭の荒川岳(3141m)が聳え、最後に赤石岳(3120m)の山腹で画面が途切れている。この右に聖岳(3013m)があって南アルプスの全貌となる。

千畳敷駅から千畳敷カールの雪渓を横切り、八丁坂を登って乗越浄土まで約1時間かかる。コースを確認して出発する。

案内板の左手に真っすぐ、小さな信州駒ヶ岳神社へ向かい、そこで右に折れて遊歩道を進む。この信州駒ヶ岳神社は、ロープウェイの開設に伴い、昭和43年に建立され、ロープウェイの無事故安全と登山者の安全を祈願している。平成21年に再建されている。

神社のすぐ右手の道端にバイモ属のミヤマクロユリ(Fritillaria camtschatcensis ssp. alpina)が咲いていた。北海道、本州の月山、飯豊山地中部地方の亜高山帯〜高山帯の草地に生える多年草で、高さは20cm程になる。花は暗紫褐色で、黄色の細かい斑点がある。花弁は普通6枚だが、この花は細い花びらが重なって咲く八重咲きである。ミヤマクロユリは日本固有種で、母種のクロユリ(エゾクロユリ)は、北海道、千島、サハリン、カムチャッカ、北米北西部に分布し、一回り大きい。

こちらの小振りで黄色い花は、キンポウゲ属のミヤマキンポウゲ(Ranunculus acris ssp. subcorymbosus var. nipponicus)という。北海道と中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地や岩礫地に生える多年草で、高さ10〜30cmになる。葉は深裂する。花は茎の先に数個つき、花弁は5個で光沢がある。日本固有種である。
最初に小さな雪渓を横切る。凍っているわけではないのでアイゼンはいらないが、雪渓の上は滑りやすいので慎重に進む。

雪渓が過ぎればいろいろな高山植物が咲き始めている。この花はショウジョウバカマ(Heloniopsis orientalis)で、日本各地の山地の湿った草地に自生している。猩猩袴というように、花色は紅色系だが、淡紅紫色から濃紅紫色まで変化が多い。黄色や白色のものも見かける。